イベント専門のコンサルティング会社ホットスケープの代表 前野さんに聞く「【初心者必読】成功するイベント・セミナーの作り方」 第6回目テーマは「運営とは?運営マニュアルの意義と作り方」です。
さあイベント本番までもうわずか。イベント当日のことをどこまで細かく考えればいいのか、それをどうやってマニュアルに落とし込めばいいのか、わからないことだらけだという人がほとんどかもしれません。でも実は、連載第4回の会場の選び方や第5回の集客のヒントのお話でも「当日の動きやすさ」という視点でのアドバイスが実はたくさんありました。
会場が公表しているキャパ数を疑え?失敗しない会場選び、手順と考え方をご紹介【成功するイベント・セミナーの作り方 第4回】 スポンサーの募集も一括で?最新ツールを駆使した効率の良いイベント集客とは【成功するイベント・セミナーの作り方 第5回】
今回はイベントのプロが「運営」をどう考えているのか、見ていきましょう。
運営マニュアルの必要性とは
――計画書もそうでしたが、運営マニュアルも何から手を付けていいかわからない…という方が少なくないはず。毎年同じことをする小さな社内イベントだったら、そもそもマニュアルの必要性を感じにくいかもしれませんね。
運営マニュアルは絶対に必要です。確かに慣れないうちはかなり大変な作業になるかと思いますが、絶対に作るべきですので、どんなものでもとにかく作ってみてください。マニュアルはなにも分厚いものがいいというわけではありません。実施当日の「設計図」や「ルールブック」の役割を果たす書類を目指しましょう。
連載3回目でお話した6W2H (When いつ、Where どこで、Who 誰が、Whom 誰に向けて、What 何を、Why なぜ、How どのように、How much いくらで)が書かれていれば、A3用紙一枚のマニュアルでもまずは充分です。イベントの経験を積むごとにどんどん充実させてほしいのですが、A3一枚のマニュアルでもあるのとないのとでは雲泥の差ですよ。
――とりあえずA3用紙一枚のマニュアルを自分なりに作り上げた後、どのようにそのマニュアルを改良していけばいいのでしょうか?
当日、マニュアルをもとにメモを取る こともとても大切です。6W2H、例えば前日・当日のタイムスケジュールや役割分担など基本的な情報以外何を載せればいいのかわからないというときは特に、イベント実施時にたくさんメモを取りましょう。
開会式の時間が5分押した、配布資料が足りなくなってしまった、この角度からはスクリーンが見えにくかった、会場の広さのわりに通路がせまかった、などですね。 まずは、当日困ったことをなるべく細かく記録として残しておきましょう 。
「受付が混みあって大変だった」ではなく「朝10時台の受付、特にチケット忘れの列が長くなってしまっていた」「クロークでトラブルが発生した」ではなく「想定よりも上着のお預けが多くハンガーが足りなくなったが、ハンガーを追加するまでも預かりをストップできず混乱が生じていた」というように、状況を素早く観察してそれを忘れないうちにメモを取ってください。
そういったメモが次回のマニュアル作りの際に役立ちます 。「受付は朝10時台が混雑のピーク」「クロークの備品が足りなくなったときどう対応するか」という情報をマニュアルに書き込み、配置する人員や用意する備品の数を増やす。マニュアルを作り、メモを取り、さらにマニュアルを充実させる…この繰り返しです。
このように運営マニュアルはチーム全体が持つべき共通知識であり、また、次回へ引き継げるデータのストックとしての役割を果たすべきなのです。
ポイント
まずはA3用紙一枚だけでもいいので、6W2Hのきちんと書かれた運営マニュアルを作ること。
運営マニュアルはイベント当日の設計図でありルールブックであり、そしてメモを取る際のもとになる文書。
メモが足されたマニュアルを次回に引き継ぐことで、より有用なマニュアルが作られることになる。
運営において、運営マニュアルはとにかく大事なものだと、前野さんは終始強調していました。ホットスケープなどイベントコンサルティングの会社では、マニュアル作りのお手伝いもしてくれるそうです。 大きなイベントを担当することになったときは、運営の初期の段階、つまりマニュアルなどの作成段階からプロに外注するという選択肢も持っておくといいですね。
第7回も引き続き運営についてお話ししてもらいます。 次回のテーマは来場者管理と備品管理について、運営のより細かいポイントを取り上げますよ。 どうぞお楽しみに!