イベント専門のコンサルティング会社ホットスケープの代表 前野さんに聞く「【初心者必読】成功するイベント・セミナーの作り方」
第7回目テーマは「運営を成功に導く来場者管理と備品管理」です。
前回の第6回では、運営力を高めるヒントと運営マニュアルの大切さをお伝えしましたが、今回はイベント運営で必ず取り組むことになる来場者管理と、案外抜けがちな備品管理がテーマ。運営に関するより具体的な知恵やアドバイスが欲しいという方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
備品管理において気をつけるべきこと
- ――人の管理に続いて、ものの管理についてお聞きしたいところなのですが…一見難しくはなさそうな備品の管理にも注意すべきことってあるのでしょうか?
- 小さな漏れやミスが意外と多いのが備品管理。それを少しでも減らすためのチェックポイントをご紹介します。
- ○「何を用意するのか」の羅列でなく、「何を誰がどのように用意するのか」というところまで
備品管理において何が必要となるのか、何を準備するべきなのかということを考えるのは当然なのですが、リストアップの際は「誰がどのような手段で」用意するのかという分担まで書き込みましょう。
- 例えば、
文房具一式:Aさん
→会社の備品持ち出し+足りない分は購入
- マイク:会場
→会場が貸し出してくれるそうだが、事前に申告は必要ないか。当日会場にセッティングされているのか、備品貸し出し事務所などに取りに行かなければならないのか
→会場への確認担当:Bさん
- というように、誰が手配するのかというところを書き出してみると、準備段階や当日に自分たちでおこなわなければならない作業が見えてくることもあります。
- 備品リストを作るときはものの名前だけで終わらせず、誰がどのように用意するのか、外部手配の場合は納品方法の確認も忘れずにおこなってください。
- ○「一式」というワードは使わない
実は先ほどの例ではわざと「文房具一式」という書き方をしましたが、この表現はNGです。「ん?その書き方は曖昧すぎるのでは…?」と疑問に思った方はお見事です。
- 「文房具一式」では何をいくつ用意すればよいのかが不明確ですよね。黒いボールペンが20本、ハサミが10個、ホチキスが5個というように、必要なものをひとつひとつ挙げてください。
- ○それを使うために必要なものも忘れずに
文房具の例を続けて考えてみると、ホチキスを使うためにはホチキスの針が必要となりますよね。
ホワイトボードを使うのならホワイトボード用のペンとイレイサー、電子機器を使うのなら充電器や予備のバッテリー・電池など、付随して用意すべきものまで書き出しましょう。
- ○備品を箱に詰めるときは使用場所ごとに
文房具は文房具でまとめて一箱、ネームプレートにもう一箱…というように分けて詰めてしまいがちですが、それだと当日少し不便や面倒を感じるかもしれません。備品は使う場所ごとに分けて箱詰めしてみてください。
- 受付で使う文房具と受付スタッフ用ネームプレート、セミナールーム内で使う文房具と誘導スタッフ用ネームプレートなど、使用する場所ごとに備品を分けましょう。準備も片付けもスムーズになりますし、当日の「あれ、どこに入れたっけ?」も防げます。
- ○当日の買い出しに頼りすぎない
「何か忘れていたり足りなくなったりしたときは近くのコンビニで」という考えは危険です。近くのコンビニでその日品切れが発生している、お昼時など決まった時間はひどく混雑する、当日の人員に余裕がなく買い出しに人手をさくのが難しい…というようなことはめったに起こらないことではありません。備品の準備は抜かりなく、当日全く買い出しに行かなくても大丈夫!と言い切れるくらい入念におこないましょう。
- ポイント
-
- 必要なものをリストアップするときは、具体的に何がいくついるのか、それを誰がどのように用意・手配するか、それを使うために必要になるものは何か、と細かく書き出していく。
- 「当日近くのコンビニで」という甘えは禁物。
今回は来場者管理と備品管理という運営の大きな要素2つを取り上げ、実践的なポイントをお伝えしましたが、どちらもさまざまな状況を想定してものや策を準備するという「想像力」が重要になってきます。
普段から気の利く人は特に向いているといえますが、そうでない人も自信を失う必要はありません。経験者からアドバイスをもらったり、イベントの数をこなしたりしていくうちに、イベント運営における「想像力」は少しずつ向上していくそうです。
次回の第8回では「機材関連で知っておくべきこと」をご紹介します。
音響や映像などは専門のスタッフや会社にお任せすることが多いかもしれませんが、イベント運営者が把握すべきことや持つべき視点もたくさんあるのです。どうぞお楽しみに!