近年急速に広がりを見せているWeb会議システムは、オンライン環境さえ整っていれば、いつでもどこからでも会議に参加することができます。このように便利なWeb会議ですが、実際に使ってみると「何だかしっくりこない」と、モヤモヤを感じたことはないでしょうか。Web会議は対面の会議とは違い、空気が読みづらいことがネックです。そのため、話の内容がきちんと伝わっているのか不安になることも多いでしょう。
そこで今回は、どうすれば相手に明確に伝えることができるのか、Web会議での話し方のポイントや対策について見ていきましょう。
ポイントは「話しやすさと伝わりやすさ」
人と対話するときに重要なのは「円滑なコミュニケーション」です。これは従来の対面会議でもいえることですが、Web会議では特に重要なポイントとなるでしょう。
対面では相手の表情やしぐさを間近で見ることができ、自然と空気を読んだ会話が成立します。しかしWeb会議では、各々が画面に映し出されるだけで、その場の雰囲気を肌で感じることができません。そのため全体としての空気感や状況を把握しにくく、話すタイミングが取りづらかったり、きちんと伝わっているのか分からないまま話を進めてしまったりすることがあります。
では、Web会議で円滑なコミュニケーションを実現するには、一体どうすればよいのでしょうか。相手にはっきり伝えるという側面から、具体的な対策を紹介します。
Web会議での話し方の対策と注意点7つ
画面越しでも伝えやすくするには、対面会議のときよりもパワーが必要です。これは、「Look(発声や表情などの映り方)・Act(身体表現)・Speak(話の内容)」において、普段以上にエネルギーを使うつもりで臨む必要があるということです。
実際にどのようなことをすればよいのか、表情や声のトーン、話しているときの動作や話し方など、Web会議に適したパフォーマンスにするための対策と注意点は次の通りです。
- 1.声のトーンは少し高めに
- 人の会話は、低い声よりも高い声のほうが聞き取りやすいとされています。マイクを通して話すWeb会議では、なおさらのこと。低くて小さい声だと聞き取りにくく、せっかくの発言も相手にほとんど伝わらない可能性があります。
ですので、Web会議では声のトーンを普段より少し高めにすることをおすすめします。高めのトーンで話せば自然と声も大きくなり、聞き取りやすくなるうえにハキハキとした印象を与えるようです。
- 2.口角を上げて話す
- 話しているときは、表情が豊かなほうが相手を引き込みやすいです。特に、Web会議の場合は上半身しか見えないので、表情が相手に与える影響は大きいでしょう。
表情で好感度を上げるコツは、話すときに「口角を上げる」ことです。口角が下がっているのと上がっているのとでは、黙っていても顔の印象がまったく異なります。口角を上げるだけで自然と明るい表情になるのに加え、口腔が緊張して舌が少し上向きになることで、やさしく聞き取りやすい声になります。
- 3.体を安定させる
- よく話をしながら、体を動かしてしまう人がいます。発言に合わせたジェスチャーならよいのですが、背もたれにもたれかかったと思ったら今度は前傾姿勢になったり、体が左右にゆらゆら揺れてしまったりという無意味な動きはないほうがベター。
本人は無意識のようですが、対面とは違い上半身のみ映し出されるWeb会議において、このような体の動きは特に目立ってしまいます。見ている側に「落ち着きがない」「発言に自信がないのかな?」といった印象を与えてしまうため、体を安定させた状態で話すよう心がけましょう。
- ゆらゆらとした動きに関しては、呼吸法で解消できることもあります。一般的な胸式呼吸から腹式呼吸に変えることで、しっかりと安定感のある姿勢を保つことができます。
- 4.ロジカルに話す
- 日本人はロジカルシンキングが苦手だといわれていますが、限られた時間内で生産性のある会議にするには、ぜひ習得しておきたいスキルです。思考過程を「結論→現状→原因と対策→目標」のようにすると分かりやすいでしょう。
- そして会議では、考えていることをダラダラ話すのではなく、最初に結論をはっきり伝えます。そのうえで現在の状況やそれに至った原因、今後の対策や目標などについて端的に話すのです。メリハリをつけにくいWeb会議では、話の内容は「ロジカルかつシンプルに」が鉄則です。
- 5.相手の発言が終わってから話す
- 相手がまだ発言している最中にも関わらず、話し始めてしまう人が時々います。異なる意見があったり、「自分が発言したい!」という思いが強い人にありがちですが、Web会議では注意が必要です。
相手の発言にかぶせるように話し始めるのは、通常の会議でも好ましくない行為。ましてやWeb会議では、音声が聞き取りづらくタイムラグが発生することもあるため、ますます話が伝わりにくくなってしまいます。
- まずは相手の発言を最後までしっかりと聞き、ほんの少しの間をおいてから話し始めるとよいでしょう。一瞬の間をおくことで、相手は「話をちゃんと聞いてくれている」と感じることができ、意見が対立した場合でも建設的な会話が可能となります。
- 6.メリハリをつける
- 発言中に視線が下向きになっていたり、ひたすら同じ口調で話を続けていたりしていませんか。淡々とした話し方は印象に残りにくいため、聞いていても内容が頭に入りづらく、Web会議だとなおさらです。
- たとえば「朗読」をするとき、抑揚のつけ方ひとつで相手への伝わり方が大きく変わります。これはWeb会議にも通ずるものがあり、相手に話を分かりやすく伝えるには「抑揚をつけて話す」ことが大切です。
- 重要な部分はゆっくりはっきり話すことを心がけると、相手の印象に残りやすくなります。また、同じゆっくりでも「ややゆっくり」や「かなりゆっくり」などを使い分けるようにすると、重要度に差をつけることができます。
- 7.落ち着いて話す
- 落ち着いてゆっくり話す人と早口の人とでは、聞きやすさにかなりの差が出ます。特にマイクやヘッドセットを使用するWeb会議では、ひと言ひと言はっきりと丁寧に発音したほうが聞き取りやすくなります。人にはそれぞれ話し方のクセがありますが、早口にならないよう、できるだけ落ち着いて話しましょう。
- 具体的なポイントとしては、文の最後となる単語の語尾まで丁寧に発音すること。句点の「。」まで意識するように話すと、落ち着いた話し口調になるでしょう。また、口をきちんと開くことも大切です。日ごろより少し口を大きく開いて話すことで、より相手に伝わりやすくなります。
まとめ
従来の対面会議と同じ感覚でWeb会議に参加すると、伝わる効果が半減してしまう可能性もあります。Web会議は対面のように空気を読んだコミュニケーションが取りづらいため、Web会議ならではの工夫が必要です。
・声の出し方やトーン
・表情や動作
・ロジカルな話し方
これらについては、対面会議の何倍も気をつけて話すように心がけましょう。