セミナーの受け付けから完了までのあいだには、来場者(参加者)が不満を感じる可能性のあるポイントが多数散りばめられています。そこで、クレームにつながりやすいポイントを予め知っておき、このような不満を回避することが求められるのです。今回は、自社セミナーで起こりがちな失敗を6つのクレームを例にご説明します。
case1 タイムスケジュールに関するクレーム
セミナーの参加者は、貴重な時間を割いて参加しています。そのため、「無駄」ととらえられてしまう時間が重なると、内容がどれほど良くても不満を感じてしまうのです。参加者から不満がもれてしまうようなセミナーは、失敗と言っても過言ではありません。
最初の印象は特に大切ですから、受け付けで手間取ることがないようにしましょう。この段階でもたもたすると、セミナーの開始時刻がずれてしまう可能性があります。また、「待たされた」というネガティブな意識を持ったままセミナーを受けることになってしまい、身が入りにくくなる可能性も出てきます。
スムーズに受け付けを済ませられるよう、列ができた場合の整理方法やイレギュラーな質問を受けた場合の対応をシミュレーションしておきましょう。また、領収書をその場で書くのではなく、予め準備しておくこともポイントです。さらに、トラブルになりやすい当日の飛び入り参加希望や代理で出席する方への対処についても、事前に定めておくと良いでしょう。
case2 会場のアクセスに関するクレーム
会場の場所がわかりづらく、あちこち歩き回らされると、多くの方の気分を害してしまいます。さらに、遅刻者が発生してスケジュールに遅れが生じると、時間どおりに参加した方の不満につながりますので、会場地図は事前にわかりやすいものを配布しておきましょう。
また、最寄り駅からの道順だけでなく、建物の入り口から会場までの経路についても配慮が必要です。「随所に道順を示す掲示をする」「事前に文書やサイト上で説明をする」などの対策を講じましょう。特に、夜間のセミナーでメインエントランスが閉まっている場合や、入り口の場所がわかりづらい建物のときは注意してください。
case3 座席に関するクレーム
当日、飛び入りで参加したいという希望があった場合や、参加者が同伴者を伴って来場した場合など、想定より参加者が増えることもあるでしょう。
事前に把握していない人員の増加で座席が足りなくなると、立ち見や簡易座席などで対応することになります。しかし、ほかの参加者との扱いに差が生じることは、そういった扱いとなった方はもちろん、予定どおり参加している方の居心地も悪くなりますので、やはり不満につながるでしょう。
また、席と席の間隔が狭いと、休憩の度に不便を感じますし、セミナー中に隣の人と腕がぶつかるなどして余計なクレームにもつながってしまいます。座席は余裕を持った数を用意し、動線や一人あたりの空間を考えた配置を行うことが大切です。飛び入りの参加者が見込まれる場合は、広い会場を確保しておいてもいいでしょう。
case4 設備に関するクレーム
「マイクの調子が悪くて声が聞き取りにくい」「プロジェクターに表示される文字が小さすぎて読めない」といったことが起こると、内容理解に問題が起こりますから、当然クレームにつながります。
このようなトラブルを起こさないためには、事前に会場設備を確認しておくことが大切です。マイクの数や性能、使用予定のPCがプロジェクターに対応していることは、会場の下見をした際に必ずチェックしておきましょう。
また、セミナーの当日は、差し込み口を固定してコンセントやケーブルの抜けを防止します。さらに、PCの自動アップデートやスクリーンセーバーが起動しないように設定を変更するなど、起こりうる事態を見越した対応が必要です。もちろん、予備のPCや機器、講演資料のバックアップなどを用意しておくことも忘れないようにしてください。
case5 参加者数に関するクレーム
ワークショップ型のセミナーはもちろん、講師の話を聞くタイプのセミナーであっても、あまりに参加者が少ないセミナーは信頼性が低くなり、同時に不安を抱かせてしまいます。
参加者を予定どおり確保するためには、リマインダーメールを定期的に送るなど、当日キャンセルを防ぐ対策を取りましょう。また、そもそも集客ができていない場合は、告知対象を広げ、参加者特典や割引きなどの付加価値をつけるなど、参加者を募る施策が必要です。それでも数が伸びないときは、招待者で格好をつけることになりますが、ほかの参加者に伝わらない工夫も同時に必要となるでしょう。
case6 内容に関するクレーム
セミナーの内容が「思ったものと違った」「参考にならなかった」といったクレームが来てしまった場合は、今後のためにもしっかり内容を見直しましょう。講師の質や話し方、資料の内容はもちろん、設備面の不具合が内容の不理解につながっている可能性もありますので、問題がどこにあったのかを正確につかむことが大切です。失敗の原因分析と並行して、「追加セミナーの開催を決めて案内を送付する」「メールマガジンを送る」といったフォロー体制を整えておくといいでしょう。
セミナーは、当日までに多くの参加者を集めることが目的ではありません。申し込んだ方が確実に足を運び、スタッフの対応や講演内容に満足して、さらにビジネスが次のステップにつながることで初めて「成功」といえるでしょう。参加者に不満を残したままの「失敗」セミナーではなく、心から「参加して良かった」「次も参加したい」と思ってもらえるセミナーを目指し、しっかりと事前準備を行うことが主催者(運営者)としての責任です。
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