ワークショップにおすすめ!付せんを使った手法と成功の秘けつ

ワークショップにおすすめ!付せんを使った手法と成功の秘けつ

「みんなであれこれ考えてもいい案が出てこない」「問題定義がずらりと書かれた資料を見ても頭の中で整理ができない……」。せっかくワークショップを開催しても、このような状態では効率が悪いですよね。

少しアナログですが、実は「紙」と「ペン」さえあれば、作業がおどろくほどスムーズに進むことがあります。今回は、付せんを使ったワークショップの手法についてご紹介します。どのように進行すればよいか、また、成功のコツについても見ていきましょう。

目次
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付せんを使ったワークショップならKJ法

ワークショップはさまざまな分野でおこなわれていて、近年では地域活性化のための活動や、ビジネスシーンにおいても多く取り入れられています。しかし、ワークショップの内容によっては「考えが多すぎてまとまらない」「的確な意見がなかなか出ない」ということもあるでしょう。
そこでおすすめなのが、「KJ法」と呼ばれる手法です。

付せんにどんどんアイデアを書く
バラバラな意見や考えを収集・集約するのは大変ですし、そもそも意見自体があまり出ないこともあるでしょう。また、意見や提案があっても、その場では発言しづらいという人もいるかもしれません。
KJ法では、とにかく思いついたアイデアや考えなどを付せんに1枚ずつ、どんどん書いていきます。さまざまな意見の付せんをグループ分けすることで、まとまりにくい事柄も、効率的に整理できるのがKJ法です。
ひとつひとつは何ら関係ないことに思えても、あとからグループ分けしてみると意外な関連性や共通点、問題点などが洗い出されることもあるでしょう。どんどんアイデアを出すという点では、ブレインストーミングにも共通するところがあります。そのため、ブレスト会議でKJ法を取り入れることは、自然の流れかもしれません。
「書きだす→貼り出す→グループ分け」という方法は、一見すると手間と感じてしまうかもしれません。しかし、多種多様な考えや意見をまとめるのに向いており、抽象的な問題を可視化することにもつながります。
KJ法の生みの親
KJ法という名前の由来は、東京工業大学名誉教授だった川喜田二郎氏のイニシャルからきています。同氏が教授時代、膨大な数の学術データをまとめるために考案したKJ法。その収束過程において、新たなアイデアが生まれることに気づき、創造性開発のための「発想法」という書籍も出版しています。

KJ法の進め方について

KJ法をおこなうにあたり必要なアイテムは3つです。

・大きめの付せん(色は数種類あると便利)
・サインペン
・ホワイトボードや黒板など(みんなが見やすくて付せんを貼れる環境)

付せんを使ったワークショップでは、この3つのアイテムを使用し、次の5つのステップで進めていきます。

ステップ1:すべて書きだす
まずは、感じていることや思いついたこと、ぼんやりだが頭に浮かんだことなど、すべてを思いのまま付せんに書き出します。自分の頭に浮かんだアイデア、インターネットやテレビで得た情報などなんでもOKです。
ただし、メモ帳のように同じ付せんにいくつもの事項を書くのはNG。付せん1枚につき、ひとつの要素だけを書き込んで、ボードにすべて貼り出します。
ステップ2:分類してグループ名をつける
バラバラに貼られた付せんのなかから似たような内容のものを集め、グループごとにまとめます。まずは数枚ずつ、小さなグループをたくさん作ってみましょう。
できた小グループには、グループ名をつけます。わかりやすいように色の違う付せんにはグループ名を書いて貼り付けます。なかには、どのグループにも属さない付せんがあるかもしれません。その場合は無理やりどこかに入れるのではなく、無所属のものとして別の場所に貼っておきましょう。
次に、小グループをさらに大きなグループのものとしてまとめていきます。できあがったら、小グループ同様にグループ名を書いた付せんをわかりやすいように貼り付けます。どのグループにも属さず外れていた付せんも、このタイミングでグループ化できるかもしれません。最終的な所属先がない場合は、そのまま別枠で残しておきましょう。
ステップ3:タイトルをつける
最終的なグループ分けが決定したら、グループ名にちなんだタイトルをつけます。次に挙げるのは、地域活性化(まちづくり)の場合のタイトル例です。
・グループ名「交通関係」→タイトル「車・自転車・人が安全に通れる道路とは」
・グループ名「商店街の低迷」→「観光事業の活性化と商業施設の充実に向けて」
このようにグループのテーマは何なのか、具体的なタイトルをつけながらわかりやすく表現します。タイトルは、グループの付せんをサインペンでぐるりと囲み、直接ホワイトボードに書き出しておくと見やすいでしょう。
ステップ4:全体を可視化する
大枠となるグループのタイトル付けが完了したら、グループ内で付せんを広げていきましょう。そして、関連性がありそうなグループ同士を、矢印などを使って図解化します。
ここまでくると、目で見て全体像を理解することができるようになります。たくさんの矢印が集まるグループは本件のメインテーマであり、そこに矢印を伸ばしているいくつかのグループは、小テーマや補足情報ということになります。
KJ法は、意見や考えを整理するための便利な手法です。しかし、本来の目的はそうではなく、いくつかの問題についてそれぞれの関係性を見出し、新たな案やアイデアを導き出すことにあります。そのためには、この「図解化」する作業はとても大切です。図解化することで、思いもよらなかった関係性が浮かび上がるケースもあります。
ステップ5:文章に起こす
全体像が見えたところで、テーマの内容をひとつの文章にまとめる作業をおこないます。まず、グループごとに、各付せんのワードを参考にしながら文章を作成します。
関連性があるグループについては、メインテーマから小テーマに流れていくように文章をつなげると、わかりやすいかもしれません。最後までグループに属さなかった付せんは、少数意見と捉えられるのです。

ワークショップを成功させるコツ

ワークショップ成功の秘けつは、入念な事前準備にあります。準備をおろそかにして「当日何とかなるだろう」なんて考えていると、思わぬ落とし穴が待っていることもあります。事前準備8割、当日2割くらいのつもりでしっかり準備しておきましょう。

ワークショップを成功させるための大きな柱は、3つあります。

目的を明確にしておく
何のためにおこなうのか、このワークショップで決定・解決したい事柄は何かについて、参加者にはしっかりと伝えておきましょう。ワークショップの目的とゴールについて事前に理解しておくことで、当日の作業をイメージしやすくなります。
ファシリテーターの選定
講師から受講者へといった一方通行の講義とは違い、共同作業のワークショップではファシリテーターの存在が必須となります。
時間配分を考え、状況を把握しながらうまく場を仕切り、次の工程に進めるようにサポートをします。状況判断に長けている、質問や疑問に的確に回答できるなど、ファシリテーターとして最適な人員をあらかじめ選定しておくとよいでしょう。
批判や否定はしない
ワークショップを進めるうちに、「それはちょっと違うのでは?」と感じる意見やアイデアがあるかもしれません。しかし、いきなり批判や否定をしてしまっては、新たな発言が今後出なくなる可能性もあります。どのような意見も、まずは一旦聞き入れるというルールを、参加者には事前に説明しておきましょう。
KJ法の項目でもお伝えしたように、最終的にどのグループにも属さないものは、少数意見として参考までにとどめておきましょう。

まとめ

みんなが自主的におこなうワークショップは、通常の会議などと比べて意見やアイデアが出やすいでしょう。しかし、ただ単にワイワイと議論するのがワークショップではなく、きちんと目的を達成しなければ意味がありません。

さまざまな意見を効率的に整理するためには、付せんを使ったKJ法がおすすめとお伝えしました。情報を整理するだけではなく、さまざまな関係性を可視化することがワークショップの生産性向上につながるといえます。

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