社内研修のディスカッションテーマはどう決める?

社内研修のディスカッションテーマはどう決める?

企業に就職すると、さまざまな研修を受ける機会があります。新入社員研修やスキルアップ研修、チームビルディング研修などいろいろありますが、今回紹介するのは、企業の研修や就活の際にもよく用いられる「グループディスカッション」についてです。

ここではディスカッションとはどのようなものか、社内研修におすすめのテーマについても実例を交えながらご紹介します。

目次
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そもそもディスカッションとは?意味や目的について

ディスカッションの意味
ディスカッションという言葉には「討論」「議論」などの意味があります。あるテーマについて、参加者全員で自由に意見を出し合う討論会のようなものです。
討論といえば「ディベート」という言葉を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、ディベートは賛成派・反対派に分かれて議論し合うもの。対してディスカッションは、意見を出し合いながら共通の結論を目指すものになります。
ディスカッションの目的
面接や社内研修でディスカッションを取り入れる目的は、履歴書や経歴書、第一印象などではわからない人間性について知るためです。グループディスカッションの様子を観察することで、ひとりひとりの個性や性格を垣間見ることができるため、今後の人事にも役に立つでしょう。
【観察したい主な項目】
・自己主張ができるか
・リーダーシップはあるか
・いいたいことをうまく伝えられるか
・論理的に話をすることができるか
・コミュニケーション能力はどの程度か
・協調性はあるか(他者への配慮)
・周囲の話に耳を傾けることができるか(傾聴力があるか)
グループディスカッションでは、このような項目について知ることが期待できます。

ディスカッションの種類

ディスカッションにはいくつかのタイプがあり、大きく分けると次のようになります。

自由討論型
フリーディスカッションともいわれ、与えられたひとつのテーマについて自由に討論をおこないます。誰もが意見を述べやすいような、一般的なテーマが出されることが多いようです。
選択型
いくつかある選択肢の中から、どれかひとつを選ぶ(または、順位付けする)というものです。与えられるテーマについては難易度の幅が広く、比較的分かりやすいものもあれば、それなりに知識が必要とされる場合もあります。
ディベート型(二者択一)
2つの選択肢の中からどちらかの立場に立った2チームに分かれ、互いに討論し合うパターンです。どちらの立場につくかは主催者側が決めても、参加者に選ばせてもよいのですが、両チームの人数に極端な差が出ないよう注意しましょう。
課題解決型
与えられた課題に対しグループで解決策をディスカッションします。テーマによっては自由討論型と同じように明確な正解がないものもあり、さまざまな発言が生まれやすい傾向にあります。
フェルミ推定型
フェルミ推定とは、実際には調査が困難で見当がつかない数について、わずかな手がかりを参考にしながら推測・概算することをいいます。予測しづらいテーマが出されることが多く数字をメインに扱うため、ディスカッションのテーマとしては苦手な人も多いでしょう。

社内研修でおこなうテーマの選び方とは

グループディスカッションには、協調性やコミュニケーション力、リーダーシップ力、傾聴力、発言力などに加え、創造性や論理性など、さまざまな評価項目が存在するため、適材適所の目安にすることも可能です。

社内研修のテーマは、知りたい考え方や能力によって選定するとよいでしょう。主な選定例を挙げると、次のようになります。

・物事の価値観や協調性、思考の柔軟性なら「選択型」
・創造性や積極性、状況把握能力なら「自由討論型」「課題解決型」
・論理性や協調性なら「ディベート型」
・独創性や論理性に焦点をおくなら「フェルミ推定型」

ディスカッションのテーマ事例

グループディスカッションでは、討論中の言動で、ひとりひとりの持ち味について把握することが期待できます。実際に、どのようなテーマが使われているのかパターン別に見てみましょう。

自由討論型のテーマ事例
・働くことにはどのような価値があるか
・幸せの定義とは何か
・生きるとはどういうことか
・10年後日本はどのような国になっているか
・仕事ができる人とはどのような人か
正解が明確ではないテーマなので、さまざまな意見が生まれやすく、ときには話が大きく逸れてしまうことも珍しくありません。自由討論型では積極性や創造性、人の意見に耳を傾ける協調性のほか、コミュニケーション力などを見ることができます。
選択型のテーマ事例
・子どもに習い事をさせるなら次の内どれ?(水泳・サッカー・野球)
・商品を売り出すなら次の内どれ?(商品A・商品B・商品C)
・無人島にもっていくなら次の内どれ?(懐中電灯・ライター・水)
・小学校の授業でひとつなくすなら次の内どれ?(算数・社会・国語)
・新卒を採用するなら次の内どれ?(真面目さ・明るさ・賢さ)
こちらも正解・不正解というのは存在しません。選択型のテーマで一番大事なポイントは「何を選んだか」ではなく「なぜそれを選んだのかという理由」をきちんと説明できるかどうかです。
このテーマでは論理性や合理性、価値観のほか、違う選択をしたメンバーの意見にも耳を傾ける協調性についてなどを見ることができます。
ディベート型のテーマ事例
・学歴は重要か否か
・「愛」と「金」、大切なのはどちらか
・小学生にスマートフォンは必要かどうか
・需要があるのは「商品A」か「商品B」か
・消費税増税には「賛成」か「反対」か
ディベート型のディスカッションでは、論理性をもって話せるかどうかを見ることができます。
この型では賛成派・反対派のような2極に分かれて討論するため、対立する相手に自分の意見を押しつけてしまうシーンがしばしば見られます。感情的にならず相手の意見をきちんと聞いたうえで持論を述べることができるかどうか、協調性についても見ることができます。
課題解決型のテーマ事例
・商品の認知度を上げるにはどうすればよいか
・日本の少子化を食い止めるにはどうすればよいか
・残業をなくすことはできるかどうか
・スーパーマーケットの売り上げを2倍に伸ばすにはどうすればよいか
・どうすれば経費削減できるのか
ある問題の解決に向けた討論です。自由討論型と同様に明確な答えが出ず、さまざまな意見が飛び交ってうまくまとまらないことも多くあります。状況を把握する能力のほか、創造性や発想力、柔軟性や論理性など、実に多くの能力について観察することができるでしょう。
フェルミ推定型のテーマ事例
・日本国内にパソコンは何台あるか
・今この瞬間、スマートフォンで通話中の人は世界中に何人いるか
・日本中に電柱は何本あるか
・昨年1年間で消費された割りばしの数は何本か
・地球上にいるアリの数は何匹か
フェルミ推定型は調査が困難な問題について、少しの手がかりやこれまでにわかっている情報を駆使して、できるだけ精度よく数値を推定することが求められます。
チームで出した答えが、およその正解とは遠い数値だったとしても、それ自体はさほど問題ではありません。フェルミ推定型の場合、導き出した答えの正確性よりも思考力や集中力の高さ、粘り強さ、論理的思考ができるかどうかに重点をおくことが一般的です。

ディスカッションに必須の存在!ファシリテーターの役割とは

ディスカッションだけではなく、さまざまな研修やワークショップなどで必要となるのが、「ファシリテーター」と呼ばれる進行役です。時間配分を決めて物事を進行するタイムキーパー役のほか、ディスカッションが円滑におこなわれるよう、参加者の発言をサポートするなどの役割を担っています。

ファシリテーターの具体的な仕事
【プロセスの構築】
テーマや目的を正確に把握したうえで、ディスカッションの内容についてプロセスの構築をおこないます。どのような項目にどれくらいの時間を割くかということを念頭に、段階的にシナリオを考えてディスカッションを進行させます。
【ディスカッションの活性化】
各自が思い思いに意見を述べると、感情的になり相手の発言を批判する、周囲の空気を読んで本意の発言ができないなど生産性が低い討論となる可能性もあるでしょう。
そのためファシリテーターには、声掛けや質問を投げかけながら、その場をうまくコントロールする力量が求められます。参加者の感情と理性をコントロールして、最終的に参加者自らが合意形成できるように誘導する役割を果たすのです。

ディスカッション進行のコツについて

ディスカッションを円滑にするためには、いくつかのポイントがあります。ファシリテーターは次のことに気を配りながら、場を進行するようにしましょう。

テーマとゴール設定
参加者全員にディスカッションのテーマとゴールをきちんと知らせておきましょう。課題が明らかになっていない、最終的なゴールが曖昧などの状態では効率が悪くなります。その結果時間だけがダラダラと過ぎ、ディスカッションの内容は薄いものとなってしまうでしょう。
時間配分
討論が盛り上がり、つい時間がずれ込んでしまうのはよくある話。最終的に結論が出せずじまいということが起こらないよう、事前に時間配分を決め、途中経過を見ながら進捗状況を確認しましょう。
時間配分のコツとして、「自由に討論する時間」「意見をまとめる時間」など、おおまかに区切りをつけておくことがおすすめです。

まとめ

グループディスカッションは、テーマによってチェックすべきポイントがさまざまです。テーマに迷ったら、その研修で参加者の何を知りたいかについて考えるとよいでしょう。

仕事に対する価値観、目的達成のための解決能力やマーケティングセンスの有無、物事を論理的に説明できる力があるかどうかなど。これから仕事を任せるうえでどのポジションが一番能力を発揮できるのか、ディスカッションでの結果を活かして今後の人事に役立ててください。

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