今一度敬語の基本や言葉遣いなどを確認し、しっかりとしたビジネス表現を身につけられるよう敬語の使い分けや言葉遣い、注意点などをご紹介したいと思います。
失敗しないためのビジネスシーンにおける敬語と丁寧な言葉遣いのルール
日本社会はイエ(家)をコミュニティの基本としているために、社内の人と社外の人を明確に区別し、社内の人は身内と見なすという特徴をもっています。したがって、ビジネスシーンにおける敬語や言葉遣いにはプライベートとは異なる独自のルールがあります。そのため、誰に対して敬意を表すかによって、敬語の使い方が違ってくることになります。具体的には次のような基本ルールがあります。
- 社外の人に対してはすべて敬語を使う
- 社外の人に対しては、年齢や立場関係なく敬語を使うのが一般的なマナーになります。
例:自社の部長が得意先の新入社員に対して「わざわざお越しいただきましてありがとうございます。」
- 社内では、同僚には丁寧語、先輩や上司には敬語を使う
- 上で「社内と社外を区別する」と言いましたが、社内でも自分から見た相手の立場によって言葉遣いを分ける必要があります。具体的には同僚や後輩には丁寧語、先輩や上司など自分より少しでも上の立場の相手には敬語を用いるのがセオリーです。
例:「○○さん、これをお願いします。」「課長が先ほどおっしゃったこと」
- 社外の人と話をするときは、自社の上司を立てない表現にする
- ビジネス敬語で引っかかりやすいのがココ。社外の人とやり取りする際は社内での敬語ルールは適用されません。社内の人間は立場に関わらずすべて身内と認識し、自社の人間は立てずに表現しましょう。
例:「(社長の)○○も楽しみにしていると申しておりました。」
- 社内外の適切な敬語の使い分け
- ビジネス上における身内というのは自社内だけでなく、自分の家族なども含まれます。ですから自分の家族などについて話をする際は、敬語表現を使わないよう気をつけましょう
例:「つぎの休みに父が上京してまいります。」
敬語の基本ルールを簡単に整理すると、「相手から見た身内」が重要とわかります。相手が社外の人であれば社内、相手が社内の人であれば家族など、相手によって自分自身が有する「身内」の枠組みが変化します。相手の立ち位置によって戸惑わないよう、今一度自分の中での身内の枠組みや考え方を固めておくとスムーズでしょう。
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ビジネスでよく使われる丁寧語・尊敬語・謙譲語の具体例とその使い方
敬語には丁寧語、尊敬語、謙譲語と3つの種類があります。
丁寧語:語尾に「です」「ます」または「ございます」などをつけて表現を丁寧にした言葉
尊敬語:相手の立場を上げることで敬意を表す言葉
謙譲語:自分の立場を下げることで敬意を表す言葉
よく使う表現について3種類の敬語の具体例をあげてみます。
- 見る
- 丁寧語:見ます
尊敬語:ご覧になる
謙譲語:拝見する
- 言う
- 丁寧語:言います
尊敬語:おっしゃる
謙譲語:申し上げる
- 行く
- 丁寧語:行きます
尊敬語:いらっしゃる
謙譲語:参る・伺う
- する
- 丁寧語:します
尊敬語:なさる
謙譲語:いたす・させていただく
ビジネスシーンで間違えやすい敬語の使い方と注意すべきポイント
ビジネスの場で丁寧な言葉遣いを意識するようになると、徐々に敬語へ慣れることと同時に「よく引っかかりやすい」表現が露呈するものです。ここではとくに引っかかる人が多いであろう表現と注意点を解説します。
- 尊敬語と謙譲語の使い分け
- 敬語の使い方で間違えやすいパターンのひとつ目は、尊敬語と謙譲語の使い分けの誤りです。
×:その件は、○○にうかがってください。
○:その件は、○○にお聞きください。
×:(取引先の人に対して)当社の田中課長がおっしゃっていた件です。
○:弊社の田中が申し上げていた件です。
- 敬語の二重表現
- ふたつ目のパターンは丁寧にすればよいと考えて二重敬語を使うことです。慣用的に二重敬語が定着している表現もありますが、基本的には二重敬語は相手に違和感を与えるので注意しましょう。
×:拝見いたしました。(拝見+いたす)
○:拝見しました。
×:お伺いいたします。(お+伺う+いたす)
○:伺います。
- 原則の理解とシンプルな表現を意識しよう
- 尊敬語と謙譲語の誤用を防ぐためには、「尊敬語は、相手の言動に対して使う」「謙譲語は、自分(身内)の言動に対して使う」という原則を常に意識しておくことです。また、二重敬語にならないようにするためには、言葉をシンプルに一語で置き替えるという習慣をつけるようにしましょう。
「お」や「ご」を何でも語頭につけないようにし、語尾も短くする意識を持つことでシンプルな敬語表現ができるようになります。
言葉遣いチェック問題集
これまで学んできたことを敬語のクイズで確認してみましょう。
- 問題1 部長への返答で間違っている敬語の使い方が一つあります。どれでしょうか?
- A:部長、了解しました。
B:部長、かしこまりました。
C:部長、承知しました。
- 問題2 取引先からの電話に対する受け答えとして適切なのはどれでしょうか?
- A:○○は、本日休みです。
B:○○は、本日お休みをいただいております。
C:○○は、本日休みをとっております。
- 問題3 課長に対する敬語の使い方として正しいものはどれでしょうか?
- A:課長、今日はご苦労さまでした。
B:課長、今日はお疲れさま。
C:課長、今日はお疲れさまです。
問題1の正解
A「了解しました」
この表現は立場が上の人が使うことがおおいため、若手の社員が上司や先輩に使うことは不適切とみなされることがおおいです。
問題2の正解
C「○○は、本日休みをとっております」
○○に休みを取らせているのは会社なので、電話口で聞かれたときに自社に敬意を示す必要はありません。したがって、「休みをいただく」は不適切です。またA「休みです」はぶっきらぼうな言い方のため、不適切な言い方になります。
問題3の正解
C「課長、今日はお疲れさまです」
「ご苦労さま」は目上の人が目下の人に対して使う言葉として一般的に考えられているため不適切です。B「お疲れさま」は体言止めのため、ぶっきら棒な言い方になり適切ではありません。
日常から実践する!積み重ねが丁寧な言葉遣いを定着させるコツ
ビジネスシーンにおける敬語を中心とした言葉遣いには、慣れるまで難しいと感じるところがあるかもしれません。しかし、事前によく勉強をすれば本番で間違った表現をする失敗を防ぐことができます。
敬語を使いこなすためには、理論だけでなく実践が不可欠です。具体的には、毎日の業務の中で意識的に敬語を使うことがポイントです。たとえば、同僚との会話でも敬語を使う習慣をつけることで、自然な表現が身につきます。また、ロールプレイングや模擬商談などを通じて、リアルなビジネスシーンでの敬語の使い方をトレーニングすることも有効です。定期的な復習と、フィードバックを受ける機会を設けることで、自信を持って敬語を使えるようになります。
日常からマナーを意識し、周囲のフィードバックを積極的に受け入れ、自分の行動を定期的に振り返り、改善点を見つけていくことで、より良いビジネスマナーを実践できるようにしていきましょう。
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