さまざまな企業で、グラフィックファシリテーションを取り入れた会議やワークショップをファシリテーションする山田夏子氏。グラフィックファシリテーションと一言で言っても、人材育成から組織開発、チームビルディングまで、その役割の幅は広い。いわゆる“記録係”とは違う。
「合意形成をちゃんととっていくためには、一人ひとりが主張していることの背景までを理解し合ったうえで決めるという対話の次元に深めていかないといけない」
それが山田氏の考えるグラフィックファシリテーションの基本的な考え方である。ではなぜ相互理解のために、グラフィック(絵)が必要になってくるのだろか。
山田氏はグラフィック(絵)が求められる時代背景をこう説明する。
「現代は言語が記号としてしかやりとりがされなくなっている気がします。感じること、思っていること、想像していることを絵で見える化するということは、言語よりももっと原始的なものだと思うんですよね」
それはまるで人類がコミュニケーションの手段として使っていた絵が、文字へと変化していった数千年前への原点回帰のようでもある。
価値観が多様化、複雑化し、先が見えない不確実な時代だからこそ、私たちはコミュニケーションの原点に立ち返るときなのかもしれない——グラフィックファシリテーションはそんなことを考えさせてくれる。
グラフィックファシリテーションを使い、日本随一のファシリテーターとして活躍する山田氏に、グラフィックファシリテーションの役割、そしてコミュニケーションの場としての会議のあり方についてお話を伺った。