コロナ禍でテレワークの推奨が進む中、どうすれば時間と場所に捉われない働き方が実現できるのか。
日本航空では早くからこの課題に取り組んできた。2014年に在宅勤務制度のトライアルからスタート。2016年には勤務場所を自宅に限らないとし、テレワーク制度を実施。職場のフリーアドレス化も後押しとなり、テレワークを行うことへのハードルが下がっていった。制度が定着するように社員の声を反映しながら制度を改定していった「小さく産んで、大きく育てる」という方針が功を奏した。なお、テレワークの申請に理由の申告を求めていないという部分も特徴的である。
そして2017年、休暇をベースとしてその一部に業務が入ることを認めるワーケーション制度をスタート。制度導入当初は、社員からは「休日にも働かせるのか」といった声もあがった。しかし、ワーケーションはワークスタイル変革における、働き方・休み方の選択肢のひとつであることを理解してもらうべく、さまざまな取り組みを試みた。
2019年からは出張時に休暇を加える「ビジネス」と「レジャー」の融合を意味する「ブリージャー制度」も導入した。これは働き方改革に留まらず、その土地を知り、自身の感性を高める機会が増えるため、多様性の実現や地域創生につながるとして注目が高まっている。
多様な働き方を選択できる会社に生まれ変わったことで離職率も低下したという。「わかってはいてもなかなか変えらない」という声が多い中、先んじてワークスタイル改革を推進する企業として注目を集める日本航空。
テレワークやワーケーションがうまく実現できない会社と成功する会社は何が違うのか。日本航空のワークスタイル変革はなぜ成功しているのか。人財戦略部 厚生企画・労務グループの東原祥匡氏に、その成功の糸口を聞いた。