厳しくも豊かな自然の中にこそ、未来を創造するヒラメキがある――そんな理念のもと、「未来が育つ場づくり」を推し進めるきたもっくの福嶋誠氏。きたもっくはキャンプファンの間では知らない人はいない、日本有数のキャンプ場「北軽井沢スィートグラス」の運営母体だ。
そんなキャンプ場を運営する代表の福嶋氏は、昨年9月に焚火に集う宿泊型ミーティング施設「TAKIVIVA(タキビバ)」を北軽井沢にオープンした。人と自然の対話や、家族再生を理念に掲げる福嶋氏は、なぜいまビジネスパーソンを対象にしたプロジェクトを起ち上げたのか。
「火を中心に語りあう濃密なコミュニケーションによって、共同体はより深く広く連携していく。現代でも、火の求心性を尊ぶ祭りや神事が世界中に残る。 まさに火が人を進化させ、社会性を育み、文明をつくったと言える」
そう語る福嶋氏。
焚火が現代の私たちにもたらす効用はさまざまあるとのことだが、そのひとつを福嶋氏は「羊に教えてもらった」と言う。羊と同じ方向をきちんと見渡してやればなつきにくい羊も安心して人になつくというのだ。それはまさに焚き火の効果にも通ずるという。円陣を組んでみんなで自然に同じ火を眺めることで、ヒエラルキーは壊れ、フラットな関係になり、隣にいる人から伝わる雰囲気や安心感を得ることで、お互いの関係性が深まっていくと。
自然との対話、そして人と人のコミュニケーションをつくる場。その大切な要素が焚き火なのだ。それは今日の現代人が最も失っていることなのかもしれない。