浅間山の麓に広がるキャンプ場「北軽井沢スウィートグラス」。きたもっくが運営するこのキャンプ場は、全国版アウトドア誌の人気キャンプ場ランキングでは過去4回も1位に輝く、日本屈指の人気のキャンプ場である。しかし、このキャンプ場の生い立ちに遡ると、初めからキャンプ場を目指したわけではなかった。きたもっく代表の福嶋誠氏は、「鳥やリスなど動物たちが集まる場、人々が集う居心地のよい場をつくりたい」と火山のつくった荒野に1本1本、木を植えることから始めた。そして、いまやいくつもの樹々が生い茂る森林の楽園となっている。
「自然に従いながらどのような暮らし、事業を営んでいくか」
それを考え続けながら四半世紀にわたりキャンプ場を営んできた福嶋氏。
日本においてキャンプはこれまで三度のブームがあった。最初は1990年代の自動車業界に牽引される形で、二度目はアパレル業界が加速させる形で。そして、現在は第三次キャンプブームである。では今日のブームの背景には何があったのか。
福嶋氏は「人と自然の関係が前面に出たブームだと思います」と言う。
それは近年、世界中の人々の関心を集めているSDGsの考え方とも一致する。その潮流にあって奇しくもコロナ禍は、キャンプブームを加速させた。
キャンプ場は、単なるアウトドアレジャーから、人と人、家族の再生の架け橋へ変遷し、いまや企業という組織体のつながりやコミュニケーションの在り方が変容する現代社会の写し鏡なのかもしれない。
キャンプ場を通して、見えてきた人間社会の変遷と未来について、福嶋氏にお話を伺った。