オリジンベースド・アートシンキングという言葉を聞いたことがあるだろうか。直訳すれば「オリジン(起源)を基盤にアート的思考(≒脱常識思考)すること」。VUCA(不安定、不確実、複雑、曖昧)の時代と呼ばれる先行き不透明な現代、ビジネスで不安や閉塞感を感じている人も多いのではないだろうか。
尾和恵美加氏は、「アートは正解がないことが正解」と定義する。だからこそ、ビジネスの文脈でいまアート的思考が注目されてきているのだ。尾和氏は、VUCA時代においてプロダクトアウト的に新規事業を生み出すことができるオリジンベースド・アートシンキング(アート思考)のプロセスを自社開発する。それはすなわち、アーティストの制作プロセスを用いて事業開発を進めることで、企業のオリジン(≒歴史、哲学、価値観)を元に物事を再定義することで唯一無二のプロダクトを生み、イノベーションを起こすことである。
アートとは、オリジンという自分の固有の価値観・哲学の価値観を発見するところから始まる。これまでの日本のビジネスは経験則・標準化・効率化の中で、一般常識や数字が示す正解を元に進められてきた。しかし、IoTやAIなど技術がますます急速に進歩し、変化が加速していくこれからの時代は、個々人が自分で正解をつくっていくことが求められる。
いま、アートシンキングを通して多角的、立体的に事業やモノゴトを捉えてパラダイムシフトを起こし、一歩先の未来へ導く尾和氏にお話を伺った。