「ファシリテーションには天使と悪魔が必要」
そう語るのは、経営コンサルティング会社のピープルフォーカス・コンサルティング代表取締役の松村卓朗氏。
「“和を以て貴しとなす”というのは、反対意見があっても我慢して言わないってことではなく、それちゃんと場に出して、みんなの信頼や尊敬の下に議論することなんですよね」
同社で顧問を務める田村洋一氏は、“コンフリクト(相反する意見)”を好まないことを良しとする日本の価値観には誤解があると言う。 田村氏はディベート思考をビジネスにも採り入れた日本のディベーターの第一人者でもある。
「意見を言うと角が立つ」「上司に反論すると雰囲気が悪くなる」「そんなこと言ったら怒る」ーーそんなあきらめの言葉が次々と出てくる日本の企業文化にあって、会議で熱く議論することはとかく感情のしこりを残し、はばかられがちだ。
しかし、両氏は言う。「コンフリクト(相反する意見)なくして議論は進まない」と。
ディベートは自分の意思と関係なく、正反に分かれ論理的に議論をつめる手法だ。会議になぜディベート思考が必要なのか、ディベート思考によってどんな作用が働くのか。ファシリテーターとして、長年さまざまな企業の成長戦略に携わってきた両氏にその意図を語ってもらった。