出る杭が打たれる社会では、若者たちがどんどん海外に流出してしまう【スマート会議術第30回】

出る杭が打たれる社会では、若者たちがどんどん海外に流出してしまう【スマート会議術第30回】株式会社メディアハーツ 代表取締役 三崎 優太 氏

「ITと美容の融合」をコンセプトにFABIUSブランドを立ち上げ、「すっきりフルーツ青汁」を大ヒットさせた三崎優太氏。引きこもりだったという高校卒業後すぐ起業。その後しばらく開店休業し、FXや株式投資を勉強しながら雌伏のときを経て、現在の事業を再開。ここから、快進撃が始まった。

しかし三崎氏は、20代にして、ジャパニーズドリームを実現したにも関わらず、「出る杭が打たれる社会には絶望している」と今の日本を憂う。新しいことに挑戦する若者を潰す社会に、いずれ成功した若者は幻滅し、海外に逃げていくと警鐘を鳴らす。自ら日本からの脱出を計画する三崎氏が、若者たちにその熱い思いを語った。

目次

今は杭が打たれることを想定して対策をしています

――短期間であっという間に事業に成功していますが、現在の三崎さんは守るべきことはありますか。
守らなきゃいけないっていう意識はやっぱりあります。なんかもうこの国では、「出る杭は打たれる」ので、打たれたときの対策をしていますね。
――そういう動きは出てきていますか。
もうやばいですよ。出る杭は打たれるし、コンプライアンスがやばい。すごくやばい国だと思います。
――嫉妬ややっかみ的な感じですか。
そうですね。同業者潰しみたいな感じですね。
――出る杭といえば、かつてホリエモン(堀江貴文)が出てきたら、あっという間に潰されて、東芝が同じ粉飾決算を7、8年やってもお咎めなしっていうこともありましたね。
そういう国なので、もう何の夢も持てないですよ。日本の文化っていうか、考え方を変えられたらいいですけど…。自分は好きなようにやって、もうすぐに海外に移住して、楽しく暮らそうと思っています。出る杭は打たれる覚悟があるので、それも想定して動いていますね。
――いつ頃移住するのか、具体的な予定はあるのですか。
とりあえず海外、何カ国もの移住権を取ろうと思っています。ある程度会社の業績が良くて実績がないと難しいと思うんですけど、とにかくもう日本には夢がない。
――今ここまで来られたのは、ある意味ジャパニーズドリームを実現しているからだと思いますが。
でも出る杭を打たれたら、表に出てくる人っていなくなりますよね。表に出てくる社長があまりいないから、今の若い人が夢を見られない。お金が欲しいとかクルマが欲しいとか言わないじゃないですか。「社会のために貢献します」みたいな建前ばかりだから起業も夢がなくなる。僕はそういう意味で、欲望をオープンにしているんです。こういう人もいるんだなって、若い人たちに見て、夢を持ってもらいたい。将来起業も考えてもらえれば、日本にも貢献できると思うんです。僕はいずれ海外に移住するので、海外から伝えていこうと思っていますが。
――IT化社会になって、働く場所ってあまり関係なくなっていますからね。
関係ないですよね。だから、海外に移住しても変わらないんです。ビジネスは海外からでも日本の市場でいくらでもできる。今はすでに優秀な人が海外にどんどん流出しているんですよ。仮想通貨でお金持ちになった人もそうだけど、起業家でもそうです。お金を稼ぐ人は高い税金を払っているから国益になる。でも国税庁の隠蔽や公文書改竄とかひどすぎる。そういうのにみんな嫌気がさしてきて海外に行くんですよ。日本は借金がすごく多い国と言われますけど、借金まみれで当然だと思います。負のスパイラルに陥っていると思うんですよね。優秀な人はみんな海外に出ていく。

ホリエモンを潰す閉鎖的社会が夢を潰す

――今も会議はチャットワークだけということなので、どこにいても同じですね。
そもそも、ホリエモンの活躍を見て、僕は起業したいって思ったんですよ。だからホリエモンはすごいなって今でも思うんです。でも、ホリエモンがひどい目に逢っているのを見て、もう起業しても叩かれるんだなって思った人はいっぱいいると思うんですよね。それは国益を考えたときに、絶対にすべきじゃなかった。若者の夢を潰すことが、国益を害している。ホリエモンが逮捕されることによって、国益が間違いなく大きく損なわれているはずなんですよ。だったらまず国税庁を大掃除しろ、って話ですよ。 
――新興のベンチャー企業がいきなりテレビ局を買うなんてすごい驚きでしたね。
だから、そんな夢のあることをやっていたのに、潰されるんだって思ったら、本当に夢が見られないですよ。今までは仕方ないからそれで生きていくしかなかったけど、最近は海外に移住する選択肢もある。今はグローバルな時代なので、もうみんなどんどん海外に行くんじゃないですかね。
――そういう意識が強くなってきたっていうのは、いつ頃ぐらいからですか?
ここ5年とか。多分これから仮想通貨で海外に引っ越す人もすごく増えると思うんです。所得税が今はかからないので。ますます若い人がいなくなっていくんじゃないですか。優秀な人、お金を稼げる若い人がいなくなってくるんですよ。
――今後、海外に引っ越したときは、会社も海外に移転することになるのですか。
海外から経営します。会社の税金は日本で払いますが、役員報酬に関しては海外で払うことになります。たとえば今は税金を55%払っているんですけど、そういうお金は払わなくてよくなります。現地でまた会社をやると思いますが、その場合は現地で雇います。
――それは起業されたときに想定されていましたか。
なかったです。やってみて気づきましたね。30億円の利益を出して、13億~15億円ぐらい税金を払っているんですよ。でも多分、感謝もされないですし、逆にもっと払えっていじめられる(笑)。普通海外だと高額納税しているとそれなりに称えられたりするんですよ。日本はそれがまったくない。
世界戦略として、日本で起業して外貨を獲得しにいく動きは、何も称賛されないし、もっといじめられるだけだからやらないです。だったら海外の現地法人でそういうブランドをつくったほうが、起業家としても楽しみがあるし、やりがいが全然違うと思います。

お金を稼いだら海外に飛び出せ

――今後、何かやっていきたいという人たちに、投資も惜しまないということですが、アドバイスするとしたら?
ある程度お金を稼いだら海外に引っ越せって言いたいですね。特に若いお金持ちの人ですね。海外でやったら本当にいいと思います。実際そういう人が増えているので。とにかく日本は出る杭は打たれるという大前提がある。特にホリエモン以降はそうなった気がしています。出る杭は打たれるから目立たないほうがいい。目立つと叩かれるから、目立つなっていう風潮がすごく強いと僕は感じているんですよ。
当時のホリエモンのときよりもどんどんインターネットも発達しているし、起業はしやすくなっています。起業はしやすくなっているし、出る杭が打たれたら海外に行けばいい。だから、もっと日本を盛り上げていくには、やっぱり若者が夢を見ることが大事だと思います。そういう意味では、僕自身はこれからも、こういう社長がいるんだと表に出ていこうと思っています。将来、僕みたいな起業家がいっぱい出てきて憧れが強くなっていくような社会になればいいなと思います。
――今後、若者たちが起業家に夢を抱くにはどうすればいいと思いますか。
いろいろなタブーとされていることに挑戦していけばいいと思います。フェラーリに乗っていますとか、時計はフランクミュラーですとか言うと顰蹙を買う風潮がありませんか? 僕は普通にテレビで公言していますが、会社の信用が落ちるとか、お客さんが離れるとかよく言われるんです。拝金主義に見えてお客さんがいなくなるとか。関係ないです。誰もそんなこと気にしない。
何をやるかっていうことですから。大金持ちになるとか夢があれば、会社を始めたいって一生懸命頑張る人が増えると思うんですよね。そうなれば国益にも繋がる。今の日本の社会制度は、まるで感情がない奴隷を量産しているように感じるんですよ。
細かいことで騒ぎすぎなんですよね。何もできなくなって特徴のない人がいっぱい増えているんじゃないですかね。なんでこんなに小さいことに騒ぐんですかね。ちょっと変わった人がいるとすぐ叩く。 

あえてレッドオーシャンでブルーオーシャンを作る

――今後、起業してひと稼ぎしたいという若い人たちに、成功するコツがあればお教えください。
絶対に競争性を意識する。優位性を意識する。人がやらないことをやる。他の会社がやっていることと同じことをやっても意味がないんです。そして狙うならレッドオーシャンのほうがいいです。レッドオーシャンの中でブルーオーシャンを作るイメージです。たとえば通販なんてもう超レッドオーシャンです。青汁も超レッドオーシャンです。でも、そこで、競争優位性を意識しつつ、ブルーオーシャンを作ったんです。そのブルーオーシャンは何かというと、青汁から軸をずらしてフルーツ青汁にしただけ。レッドオーシャンの中でブルーオーシャンを作った。完全なブルーオーシャンって、その市場がないから、リスクが高い。当たるか外すかわからない。だから僕はレッドオーシャンが好きですね。レッドオーシャンの中でも差別化して競争優位性を持てば勝てる。市場は絶対にあるし、儲かる。市場がある中で新しいサービスを生んで、変化していけばいい。
――アイデアや発想の源になるものは何ですか。
嫌なことはしない。疲れることはしない。楽しいことを追求する。そういう意味で社員にもとにかく人生楽しめと言っています。楽しむために何かを探して見つければ、そこが市場に求められている金脈かもしれないですからね。

文・鈴木涼太
写真・佐坂和也

三崎 優太(みさき ゆうた)株式会社メディアハーツ
株式会社メディアハーツ代表取締役&投資家。18歳のときに株式会社メディアハーツを起業。2014年に美容通販事業を開始し、「すっきりフルーツ青汁」が累計1億6000万本以上を超える売上げとなっている。
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