テレワークを活用して、リゾート地などの地方に滞在しながら働くワーケーション。働き方改革の一環として国や自治体の間でも関心が高まり、2019年にはワーケーション自治体協議会が設立。観光庁は「ワーケーション」の普及・定着に向け、2021年度政府予算案に約5億円を計上した。
民間企業では三菱総合研究所が2017年に「逆参勤交代」という名の下、国に先駆けていち早く新たな働き方を提唱。江戸時代の参勤交代とは逆に、都市居住者が期間限定で滞在型テレワークをすれば関係人口が増え、地方創生も可能だという考え方だ。
出典:三菱総合研究所松田智生主席研究員
一方で、同社の主席研究員・松田智生氏は「豊かな自然のメリット訴求だけの誘致合戦は一過性のブームになりかねない」と警鐘を鳴らす。現状では残念ながらワーケーションに熱心なのはIT企業など一部の人たちで、限られたパイの争奪戦はメリットを生み出さない。課題は一般企業をどう動かすか。SDGs(持続可能な開発目標)の観点から地域貢献と結びつけるなど、脱・バケーション型の新たなワーケーションを打ち出さないと企業は動かない。
松田氏は、コミュニケーション(交流)、エデュケーション(学び)、コントリビューション(貢献)がワーケーションを実りあるものにするために必須の3つの条件だと言う。なぜコミュニケーション、エデュケーション、コントリビューションが新たなワーケーションが求められるのか。withコロナ時代のワーケーションへの期待と課題を松田氏に伺った。