【スマート会議術第8回】会場に足を踏み入れたときからスタート 満足度を上げ、スムーズなセミナー運営を行うポイントにご登場いただいた、Web制作者向けのセミナーイベント「CSS Nite」を主宰し、12年にわたり、700回、延べ60,000人が参加するセミナーイベントを運営してきた鷹野雅弘さんが、セミナーを成功させるコツをご紹介する特別企画「集客セミナー塾」。
第1回目の今回は、おもに登壇者(講演者)が気を付けたいポイントについて。メインで登壇する人や司会者はもちろんのこと、協賛の一言トークやプレゼンテーションをする人など、ある意味、誰もが気にかけ、身に付けるといいものです。
マイクを制する者がセミナーを制する
10~20名を超える会場では、マイクを使うケースが多いでしょう。「マイクの使い方って、マイクをオンにするだけでしょ」と思われるかもしれませんが、セミナーイベント成功の秘訣は「いかにマイクを制すか」といっても過言ではありません。
マイクは、遠ざけると音が小さくなり、近づけると音が大きくなります。しゃべっている声の聞こえ方の大小の差が激しいと、聞き手にはストレスです。
マイクには、「どの角度の音を拾えるか」「どの向きだと感度がいいのか」といった指向性があるので、マイクの位置が口に近くても、スクリーンを振り返ったときに、マイクの位置が連動せずに声が小さくなってしまうことがあります。
また、避けるべきマイクの持ち方に「カラオケ持ち」(ラッパー持ち)があります。マイクの先端部分を握ると、音がこもったり、ハウリングしやすくなったりします。さらに、口元近くの表情が見えにくくなり、講演者が参加者に与える情報量が減ってしまうのです。
事前のリハーサルなどで、マイクの使い方について、確認しておきましょう。
- <マイクの使い方のポイント>
- ・マイクの位置は一定に(口から数cm)
・スクリーンを振り返ったときには、いっしょにマイクも移動
・カラオケ持ちをしない
なお、登壇者のマイクの持ち方のせいで、声が会場全体にきちんと届いていない場合は、講演の途中でも「カンペ」を出したり、いざとなったら司会が割り込んだりしてでも、マイクの使い方を正すようにしましょう。聞き手から指摘や不満が出ないのが、望ましいマイク使いの状態です。
「やりっぱなし」の挙手アンケートには意味がない
「○○の方、挙手いただけますか?」
セミナー中、参加者の動向を知るために行う「挙手アンケート」ですが、「○名くらい」「会場の半分くらい」のように結果を共有するようにするといいでしょう。
ただ挙手させるだけ、つまり「やりっぱなし」ですと、前方に座っている人は結果がわからず、徒労感が残ってしまいます。
挙手アンケートは、気分転換などのためにも効果的ですが、あまりにも回数が多いと、手を挙げる側としては、気持ち的に疲れてきますので、ほどほどに。
注意したいのは、複数の講師で構成するセミナーイベントの場合です。前の講師と同じ質問をしてしまい、参加者に「これ、さっきも聞かれたよね…」と思われてしまうのは望ましくありません。
質疑応答は必ず復唱を
会場からの質問は「ご質問の内容は○○でよろしいですか?」と復唱するようにしましょう。
たとえ、質問者にマイクを渡していても、質問の内容が聞き取りにくかったり、要領を得ていなかったりすることは多々あります。このとき、すぐに答えてしまうと、「講師と質問者」のみの会話になってしまいます。質疑応答もセミナーのコンテンツの一部という観点から、復唱することで、会場全員で共有できます。
最初の質問が出にくい場合、MC(司会者)からの質問を用意しておくといいでしょう。口火となり、その後の質問が出やすくなります。