会議HACK!がメディアパートナーとして参画する一般社団法人プレゼンテーション協会(代表理事 前田鎌利)が、4月19日(月)、特別対談「伝?伝 “世界一やりたいことができる会社”の伝え方」を開催しました。
「伝×伝」シリーズ第3弾のゲストは、株式会社オアシスライフスタイルグループ代表取締役の関谷有三氏。関谷氏はインフラ(水道)→飲食(タピオカ)→アパレル(ワークウェアスーツ)と衣食住の分野で立て続けにヒットを生み、“令和のヒットメーカー”の異名を持ちます。また、今年3月には著書『なぜ、倒産寸前の水道屋がタピオカブームを仕掛け、アパレルでも売れたのか?』も上梓。いま最も熱いビジネスパーソンとして注目を浴びています。
今回はそんな関谷氏が「世界一やりたいことができる会社の伝え方」をテーマにプレゼンテーション、および前田鎌利氏との特別対談をオンライン&オフラインのダブル配信でお送りします。
動力源は、「愉快な仲間と大冒険をしていきたい」という気持ち
冒頭はプレゼンテーション協会代表理事の前田鎌利氏が「不確実性の増大した時代の伝えることの難しさ」についてのオープニントーク。前田氏は、古代ギリシャの哲学者アリストテレスの『弁論術』を例に、人は古代から現代に至るまで「相手に何かを伝える」ことに悩んでいると言います。「しかし、プレゼンは決して特別なことではない。名刺交換をするのも、病院の問診も、私たちの日常はすべてがプレゼン。不確実性の時代だからこそ伝えることはさらに難しくなっている。お互いのことを知るためには質問と回答を繰り返すことが大事になってきます」と語ります。
そんな前田氏の「伝えるスキル」を学ぶ「伝×伝」シリーズ第3弾では、百戦錬磨のビジネスシーンをくぐり抜けて数々の成功を収めてきた関谷有三氏が、自身の「伝える方法」についてプレゼンをしてくれました。
関谷氏率いるオアシスライフスタイルグループ(以下、オアシス)の会社理念は、「世界一やりたいことができる会社」。その理念はどうやって生まれたのでしょうか。
関谷氏は大学卒業後、倒産寸前だった実家の水道工事店を立て直し、その後、2006年にオアシスソリューションを起業。大手マンション管理会社と提携するビジネスモデルを生み出し、数年で全国規模に成長させ業界シェアNO.1を誇る企業へと躍進します。
順風満帆に見えた会社でしたが、大きな転機が訪れたのは2011年の東日本大震災だったとのこと。1つの事業だけでは事業の永続は難しいと痛感し、3本柱の事業を運営することを決意します。2013年、タピオカミルクティー発祥の台湾のカフェブランド「春水堂」を3年の交渉の末に日本へ誘致。代官山に海外初店舗をオープン、その後全国へ展開し空前のタピオカミルクティーブームの火付け役となります。
そして2017年、水道事業の作業着のリニューアルを機にアパレル事業を立ち上げ、スーツに見える作業着「ワークウェアスーツ」を開発。2019年にはユナイテッドアローズ名誉会長の重松氏が顧問に就任し、セレクトショップや三越伊勢丹などの百貨店でも販売。アパレル不況の中でも異例の急成長を続けています。
関谷氏が水道事業から飲食、アパレルへと矢継ぎ早に事業を拡大している動力源は、「愉快な仲間と大冒険をしていきたい」という気持ちだと言います。
「オアシスには、一言で言うと欲張りな人が多くて、仕事もバリバリ、プライベートも遊ぶように働きたいという人が集まっています。1年目も10年目も関係ない。欲張りにいろいろなことに手を出して遊ぶように努力する。頑張るより夢中になる人が活躍をしている」
実際、大ヒットとなったスーツに見える作業着「ワークウェアスーツ」は、新卒9年目の女性社員が提案したそうです。
「世界一やりたいことができる会社」を作るには、「最高に面白い人生を送る」と決めることだと言います。そして、「面白い人生を送る」ために欠かせないのが「メンター」の存在。
「僕は“メンターのわらしべ長者”と言っているのですが、自分より面白い人を見つけては追い抜くことをモットーにしています。でも、数年経ったら“さようなら”をします。僕は八方美人に薄く広くつき合えないので5年1回くらいはメンターが入れ替わるんです。最も大事なのはつき合う相手をちゃんと選ぶこと。飲み屋で愚痴をこぼすような人、不幸自慢したり、稼ぎ自慢したり、なんでも人のせいにしたりする人たちとはつき合いません」
また、魅力的なメンターと出会って対話するには、自分もメンターに選ばれるようにならなければいけないと関谷氏は言います。そんなメンターと選ばれる方法は「質問する癖、実践する習慣」をつけること。
「人に会うときは、いつも4~5の質問を用意する。成長する人の特徴は聞き上手、褒め上手な人です。だから会社では歌舞伎町でNO.1キャバ嬢を招聘して研修をしたりもします。そこでマスターしたのが“0.5秒遅らせる相槌”(笑)。これはぜひやってみてください」
“メンターのわらしべ長者”になるためには、とにかくメンターの良いところを徹底的にパクることだそうです。そして、パクったら必ず本人にフィードバックすること。それもすぐにフィードバックすることが重要だと言います。
「仕事ができる人ほど、忙しい人ほどレスが早いんです。だから僕はレスが遅い人とは友達にならないことにしています」
そして、パクるときは必ずメンターの期待を把握し、期待を超えること。
「もし悩んだら、ぶっこめ、と言っています。考えることと悩むことは違います。永遠に答えが出ないことが悩むこと。やってもやらなくても後悔するなら、やって後悔したほうがいい。イヤなことがあったときに、マイナスをどうやってプラスに解釈するか。人はできると思ったことはほとんどできる。当然失敗もする。メンターに相談すればアドバイスももらえる。その繰り返しです。そうやって努力して本物に近づける。そうしないと、さまざまな面白いことにチャレンジできない」
面白く生きようぜ!
後半は前田鎌利氏と関谷有三氏の特別対談。前田氏が以下の「3つの伝える」のお題について1つずつ関谷氏に尋ねていきました。
1. 社員に伝える際のこだわりポイント
2. ビジネスで伝える際のこだわりポイント
3. いま、伝えたいこと
1. 社員に伝える際のこだわりポイント
前田:今日、この会場はオアシスさんのオフィスをお借りしているのですが、社員のみなさん、カッコいい人しかいないなーと思いました(笑)。
関谷:見た目も中身もカッコよくというのが僕のモットーです。僕がカッコいいかどうはともかく(笑)、人はカッコつけるからカッコよくなる。カッコよくなりたいから、努力するし本物に近づけると思うんですね。とにかく楽しくカッコよく生きる、です。
前田:オアシスさんは女性も非常に多いですが、女性が活躍できる秘訣とかあるのですか?
関谷:女性は6割くらいですね。オアシスは年齢、国籍、性別は一切問わないですし、やる気と成績次第なのでそれが自然に出ているのだと思います。ただ、なんでも積極的にやりたいと言ってくるという意味では、女性のほうが欲張りですね(笑)。うちはプロ野球選手みたいに半年に一回、給料交渉を直談判しているのですが、女性のほうが高額要求してきます(笑)。もちろん給料は実績や信頼度がベースとなってきますが。
前田:社員の信頼度は何で測るのですか?
関谷:僕はいつも公言しているのですが、僕に営業できない人はダメ。僕に営業できなきゃ外でキーパーソンにも営業できない。僕をセンターピンとして認識できない人や僕を口説けない人はダメです。忖度不要です。年齢も性別も国籍も関係ない。毎日が文化祭と自分にも社員にも言っていますし、僕も毎日、みんなに伝えたいことはLINEで好き勝手言いまくっている。僕のつまらないギャグは誰も聞いてくれないけど、それでいいんです。言わないで誤解されるより、言ってウザがられたほうが百倍マシです(笑)。
2. ビジネスで伝える際のこだわりポイント
前田:ビジネスで社外に対して人に何かを伝えるときに特にこだわっていることはありますか?
関谷:1つは先ほども言ったレスを早くすること。あとは相手の人になりきって僕が相手の立場だったらどうしてほしいかを考えます。ギリギリを狙って相手との距離を縮める。ギリギリセーフを狙っていかないと人との距離は縮められないんです。ギリギリを攻めるので5回に1回くらいはギリギリアウトになりますけど(笑)。
前田:ギリギリとは具体的にどういうことするのですか?
関谷:LINEを交換するとか、絵文字を送るタイミングとか、親しげに○○ちゃんと呼ぶとか(笑)。いま絵文字送っても大丈夫かな?と悩んだらとりあえずやります。距離を縮めてなんぼなので、基本がしっかりしていればいきなり絵文字を送ってもいいと思っています。
前田:これから起業しようとしたい人にアドバイスがあればお願いします。
関谷:ビジネスって人を動かしてなんぼなので、そんなとき言葉の力は強いと思っています。いかに言葉で人を動かすか。僕は昔、浅田次郎の本を読み漁って、いかに人を泣かせるかを学んだりもしましたね。昔からみんなにいろいろ伝えようとブログやツイッターで発信していますが、よく「芯を喰っているのにオリジナリティがある」と言ってもらいます。ありきたりの言葉じゃ伝わらないので、伝える言葉は磨いたほうがいいですね。
自分なりの言葉を見つけるといいと思います。
3. いま、伝えたいこと
前田:最後に関谷さんが今、皆さんに伝えたいことはありますか?
関谷:一言で言えば「面白く生きようぜ!」ですね。今日はオンラインとオフラインの両方でやっていますが、やっぱりオンラインより会ったほうが面白いじゃないですか。コロナ対策はしつつも、もっと面白いことができるんじゃないかなと。最近、面白くすることに対して、みんな最初から諦めちゃってないかなと感じます。コロナ禍だからしょうがないということもありますが、だから面白いことができないとすぐ諦めるのはもったいない。
前田:なるほど。やったことないこと、新しいことにチャレンジしてみる。いままでの自分の囚われないということが今日のメッセージかなと思いました。ありがとうございます。では、視聴者の皆さんから関谷さんに質問が届いていますので、紹介したいと思います。
- Q.
人生で一番大切にしていることは何ですか?
- A.(関谷:)
「誰とつきあうか?」ということですね。イケてない人とは関わりたくない。「すべての人を大事にしなさい」とよく言われることがありますが、毎年ため息つきながら年賀状を500枚書いている人を見ても幸せそうには見えないですよね(笑)。本当に大切な人とだけつき合えばいいんじゃないですか。僕はメンターが4~5年で変わると言いましたが、それでも自分が輝いてさえいれば縁は切れないものです。
- Q.
どんな社内研修を行っているのですか?
- A.(関谷:)
研修は年間50回くらいやっていますが、1グループ4~5人ずつに分かれて発表して毎回チャンピオンを決めるんです。インプットとアウトプットを交互にスピード感をもってやるので、一日でPDCAが体験できる。一日8時間やるのですが、参加者からあくびが出たら僕の負けだと思ってやっています。僕は時間を奪うことと奪われることが嫌いなので毎回戦いです。つまらない講演をしているのをみるとムカつくんです(笑)。僕は高校や大学でずっと寝ていて先生によく叱られたましたが、「お前の話がつまんないからだろ」と思っていましたからね(笑)。
- Q.
社内はどんな体制になっていますか?
- A.(関谷:)
3~4人のチームにマネージャーが一人いるくらいですが、上下の階級はありません。フラットな関係で365日24時間いつでも僕に連絡してもいいことにしています。僕は6時間以内に必ず返事をするようにしています。
- Q.
欲張りすぎて何も得られないことはありませんか?
- A.(関谷:)
何かをやろうとなったときはもちろん予算があるので、財務と戦うことになります。でも、やりたいことを最優先します。みんなには1回ダメだと言われたくらい諦めるなと言っています。僕は朝令暮改が当たり前だと思っているので、最初にダメだと言ったことが二度目にいいこともある。本当にやりたかったら3回くらい言ってこいと(笑)。
- Q.
いま、メンターには誰がいますか?
- A.(関谷:)
いまのメンターではオンデーズの田中修治くんがいます。彼にはすべてにおいて勝てるところがない。聞いたらなんでも教えてくれる。彼は「友達なんか必要ない」という人なので、友達として認知されていることが僕にプレッシャーを与えるし、常に緊張感がある。メンターを得るには、まずその人にとって認められる存在になることが重要だと思います。
前田:なるほど。今日はたくさんの金言が飛び出しましたね。まだまだいろいろ質問がありますが、時間となってきました。ありがとうございました。
今回、少人数ながらオフラインも兼ねた90分にわたる関谷氏の貴重なプレゼンと特別対談。最後はオンラインの聴講者の皆さんとスタッフ一同の記念写真を撮って締めくくられました。
歯に衣着せない切れ味鋭いトークと全身からみなぎるパワー、そして人懐っこい笑顔が素敵な関谷氏。本日参加された聴講者の皆さんは、きっと関谷氏の人柄とビジネス哲学に存分に魅了されたのではないでしょうか。
プレゼンテーション協会のイベントは今後も定期的に開催されますので、ご興味のある方はぜひ次回のイベントにもご参加ください。
プレゼンテーション協会 入会申込み
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