ブレストにおいて、創造的なアイデアを出すコツを紹介します。それは、「プレイズ・ファースト」です。プレイズは「ホメる」、ファーストは「先に」ですから、直訳すれば「先にホメる」となります。つまり、「アイデアの良いところに真っ先に光を当てて(注目して)、ホメる」ということです。
アイデアプラント代表 石井力重
たいていの人は、他人からアイデアを聞かされたときに、次の2つの気持ちを同時に抱きます。まずは、そのアイデアの欠けている面、足りない面を見て、「ああ、危なっかしいな」というネガティブな気持ち。もう1つは、そのアイデアの良いところを見て、「こういうところがいいな」「こうするともっと良くなるな」というポジティブな気持ち。このときに、ポジティブな気持ちを優先する、つまり良い面をホメる(プレイズ・ファーストをする)のです。
常にプレイズ・ファーストを心がけて、実践をしていくと、良いことが起こります。たとえば、相手の出したアイデアに対してプレイズ・ファーストをして、自分のアイデアを投げかけていく、すると相手も自分のアイデアをホメてくれるということを繰り返していくことで、アイデアの質がどんどん高まります。
また、「常にアイデアの良いところを見つけてホメてくれる」という、アイデアを言いやすい環境、創造的な風土が生まれます。このようなアイデアの良いところを探すというポジティブな心理が、相手だけでなく、自分自身の創造性も高めてくれます。ですから、皆さんもブレストや普段の会話の中で、「相手のアイデアの良いところを探してホメる」ということを習慣にしてみてください。
※当コラムは著書『使えるアイデアがあふれ出る すごいブレスト』を基に補筆したものです。(出典:03-05)
- 石井 力重(いしい りきえ)アイデアプラント
- アイデアプラント代表/早稲田大学・奈良女子大学 非常勤講師(デザイン論、創造学)/日本創造学会 任命理事。アイデア創出ツール開発、アイデアワークショップ、創造研修やアイデアの講義、創造技法の研究をしている。東北大学 大学院修了後、メーカー系商社に5年勤務、同大2つの大学院(工学、経済学)博士後期課程にて創造工学を研究後に退学、NEDOフェローとして大学発ベンチャーに3年駐在。2009年にアイデアプラント設立。研修を実施した企業、教育機関は600件以上でのべ2万人以上が参加。開発したアイデア創出ツール「ブレスター」が みやぎものづくり大賞受賞。発想を引き出す専用メモ紙「nekonote」が日本創造学会 学会賞受賞。NHK「おはよう日本」にて「アイデアトランプ」をはじめとする複数の製品が紹介された。著書に『アイデア・スイッチ』(日本実業出版社)、『すごいブレスト』(フォレスト出版)。