標準的なブレストは次のような流れで行います。
01.準備
テーマオーナー(ブレストのテーマを持ち込む人)がメンバーに参加を依頼します。資材を準備します。付箋やノート、ペン、ホワイトボードなどの筆記用具、そして場合によっては、飲み物や休憩時につまむお菓子なども。もし、メンバー全員がブレストの進め方に慣れていないようであれば、誰か1人がファシリテーター(進行役)になり、進行をリードします。
02.テーマの紹介
テーマオーナーは、みんなにアイデアを出してもらいたいテーマを紹介します。たとえば、「〇〇を△△するには、どうすればいいか?」とか「新しい□□のアイデアについて」などというテーマをホワイトボードの上のほうに大きく書くなどして、みんなの目に入るところにはっきりと掲示します。
みんなでテーマについて質問したり、アイデアを考えるにあたって必要な背景などの情報を追加で聞き出したりして、全員がテーマを理解するようにします。
03.発想して、発言して、書き出す
ブレストを開始します。参加者は、アイデアを思いついたら即座に発言します。順番に発言するとか、偉い人から先に話すというようなルールや忖度(そんたく)はなしで、とにかく思いついた人からどんどん発言します。
このとき、前の発言者の話の流れを受ける必要はありません。ただひたすら、みんなでアイデアを列挙するようにします。誰かのアイデアを聞いているうちに、それに触発されて派生のアイデアが思い浮かんだら、それを発言します。
書記役の人は、あがってきたアイデアをホワイトボードに書いていきます。書記役がいない場合は各自がポストイットに書き留めます。
一方、ファシリテーター(進行役)は、創造的な会話がしやすくなるように、場の雰囲気づくりや発言をうながしたりします。終了時刻の間際に発言が活発になることはよくありますので、「もう少し続けたほうが良さそうだ」と感じたときは延長してもけっこうです。その場合は、なし崩し的に延ばすのではなく「あと10分、ブレストを延長しましょう」などと明確に提案して、みんなの賛同を得ると良いでしょう。
04.獲得
ブレストが終了したらテーマオーナーは、出て来たアイデアを見て、記憶が新鮮なうちに、アイデアリストを書き出します。
ホワイトボードやポストイットの内容をPCなどに書き写します。ブレストの最中に書かれたものはいわば“速記メモ”なので、必要に応じて言葉を補って書いておかないと、あとで内容を思い出せなくなったりするので、アイデアが集まったらすぐに整理するようにします。また、テーマオーナーは、発言者に質問したいことがあれば、場を終了する前に聞いておきます。
終了にあたって、テーマオーナーは参加者にお礼を言います。そして、みんなで会場を片づけます。
※当コラムは著書『使えるアイデアがあふれ出る すごいブレスト』を基に補筆したものです。(出典:01-03)
- 石井 力重(いしい りきえ)アイデアプラント
- アイデアプラント代表/早稲田大学・奈良女子大学 非常勤講師(デザイン論、創造学)/日本創造学会 任命理事。アイデア創出ツール開発、アイデアワークショップ、創造研修やアイデアの講義、創造技法の研究をしている。東北大学 大学院修了後、メーカー系商社に5年勤務、同大2つの大学院(工学、経済学)博士後期課程にて創造工学を研究後に退学、NEDOフェローとして大学発ベンチャーに3年駐在。2009年にアイデアプラント設立。研修を実施した企業、教育機関は600件以上でのべ2万人以上が参加。開発したアイデア創出ツール「ブレスター」が みやぎものづくり大賞受賞。発想を引き出す専用メモ紙「nekonote」が日本創造学会 学会賞受賞。NHK「おはよう日本」にて「アイデアトランプ」をはじめとする複数の製品が紹介された。著書に『アイデア・スイッチ』(日本実業出版社)、『すごいブレスト』(フォレスト出版)。