豊富な意見出しの会議【第8回】

豊富な意見出しの会議【第8回】人財育成家 沖本るり子

こんにちは。「5分会議」🄬を活用した人財育成家の沖本るり子です。

いよいよ意見出しを開始!となったら、1つに集中できる意見出しの工夫をしましょう。

細分化した議題
人も組織も成長する「5分会議」🄬【第2回】で、「5分会議」🄬の特徴の1つに「視点で分解する」を取り上げました。ミニ会議は議題を細分化することで初めて効果的に機能します。
「アイデア出し会議」→「アイデアのいいところ出し会議」→「アイデアの問題点出し会議」→「問題点への対策案出し会議」がミニ会議の基本の流れです。
そして「アイデア出し会議」で複数の案が出るので、「アイデアのいいところ出し会議」ではそれぞれの案ごとに「いいところ出し会議」を行います。
つまり10個アイデアが出たら、「いいところ出し会議」も10回行うことになります。
なぜこのようなやり方を取るのかといえば、これまで説明したことの繰り返しとなりますが、主に次の理由によるものです。
・着眼点を絞り、シンプルにかつ具体的に考えられるようにする
・それぞれの案を多面的に捉え、意見の偏りをなくす
意見出しの際は、目標を決めましょう。「A案のいいところを2分で20個以上」などです。達成するには少しキツいと感じるくらいでちょうどいいです。どうしても意見が出せない場合は「パス」も回数を決めて認めましょう。
「アイデア出し会議」→「アイデアのいいところ出し会議」→「アイデアの問題点出し会議」→「問題点への対策案出し会議」は、「5分会議」🄬の基本形に過ぎません。
もし、それぞれの過程で質問時間を設けたいのであれば、「質問会議」を別途設定しましょう。また複数のアイデアを統合させたい場合は、「アイデア出し会議」の段階ではなく、「対策案出し会議」まで進めてから「統合会議」を行います。
なぜなら一見似たようなアイデアでも、「いいところ」や「問題点」まで似通るとは限らないからです。すべてを一度フラットな視点で検討し、そのうえでアイデアをまとめていきます。
「5分会議」🄬は基本の流れを活かせば、いくらでも応用できます。
たとえば、理解確認会議です。説明会や報告会など一方的に発表する場で、参加者の理解度を確認し、不明点を補う方法です。
「はじめのあいさつ」→「説明・報告」→「わかったこと出し会議」→「わからなかったこと出し会議」→「疑問の補足」→「終わりのあいさつ」のような流れです。また、問題解決会議や課題解決会議なども同様に細分化して行う考え方です。
このようにミニ会議を組み合わせることで、さまざまなテーマに対応できます。視点を分解し、小さな議題を積み重ねて社内の問題や課題を解決しましょう。
すべての意見を書き逃さない!
「5分会議」🄬のメモ係は、実に大変な役割です。人の話を聞きながら要約し、同時に自分も案を出す。ミニ会議1回分やるのに、相当な集中力を要します。そしてメモ係が忘れてはならないこと、それは「すべての意見をできる限りそのまま書く」ということです。
誰かの言葉がごっそり抜けていたり、言葉のとおりではなかったり、という部分が必ずあるはずです。厳密に言えば、この時点ですでに本人の主観が入っているわけで、それが認識のズレにつながっていきます。
オンライン会議で、録画機能があったとしても、録画せず、Excelまたは、会議ツールの機能を使って書き留めてください。印刷はしなくても印刷できる状態がよいです。録画の再生は、時間がかかるのでほぼ誰も後で見ません。
会議は長時間に及ぶことも、何回かに分けて行うこともあります。流れの中で、過去の発言がいつ参考になるかはわかりません。「そういえば、あんなこと言っていたよね!」となったとき、客観的に振り返るには記録が必要なのです。それを可能にするのがメモの存在です。
「5分会議」🄬では極力単語で話すことがルールですから、人の発言もメモしやすいはず。まとめられない場合は、「ここに何と書きますか?」と、発言者に聞いてください。本人に話が長すぎることを気づかせるのも、メモ係の大事な役割です。
そして誰かがすでに出ている言葉を繰り返したとしても、記録はまとめずに別に残すこと、また言葉は置き換えないこと。本人は何か意図があって、その言葉を選んでいるはずです。発話の背景を汲んで、メモをまとめていきましょう。
メモの書き方にもルールを設けよう
そうは言っても、自分の手帳に書くメモとは異なります。最初のうちは、メモ係になると気負ってしまうことでしょう。そこで会議全体で、一定のルールを設けます。
①ヘタでもいい
字を書くのが得意でない人は、板書をとても嫌がります。気持ちはわかりますが、全員が交代でメモ係を行います。得手不得手には関係なく、必ず一度はメモ係を経験するのです。といっても、きれいに書こうとすると時間がかかります。そうした余計なストレスは、できるだけ取り除くように運営するのがコツです。ですから字についてはうるさく言いません。読めればOKです。
でも雑過ぎて本人にしか読めない、というのでは困りもの。ミニ会議ごとにまとめたホワイトボードシートを一列に並べたとき、順番やどの意見が何に対応するのかがわからなければ、記録をとった意味がありません。厳密でなくても構いませんが、インデントを下げる、行間を空けるなどして、言葉のまとまりが見えるように工夫して書くようにします。
②漢字で書かない
メモ係の記録は、とにかく時間との勝負です。議論の流れを妨げないよう、スピード重視。すべて漢字で書いていたら、間に合いません。漢字が得意で物知りな人は対応できるかもしれませんが、所要時間がムダです。
また、いまの時代、手書きの機会も減りました。なかなか漢字を思い出せないという人もいます。うろ覚えの漢字は、正しく書けない場合もあります。「こんな字も書けないのかと思われたら恥ずかしい」という感情が先に来て、手が止まってしまっては大ブレーキに。メモ係が嫌で嫌でしょうがなくなります。
漢字で書けるかどうかは、本質的な問題ではありません。大事なのは、意見を逃さず書くことです。ですから曜日の「火」や「水」などほとんどの人が書ける漢字、画数の少ない漢字を除き、ひらがなやカタカナを使うことをルールとします。漢字が得意な人もこのときばかりはガマン。漢字が苦手な人に合わせ、みんなが抵抗なくメモできる環境をつくりましょう。
オンライン会議も同様、意見を逃さず速く入力することです。

※本記事は『期待以上に部下が育つ高速会議』から抜粋・再編集したものです。

沖本るり子(おきもと るりこ)
「5分会議」🄬を活用した人財育成家。1分トークコンサルタント。株式会社CHEERFUL代表取締役。「人財育成と組織改革」を柱に、企業向けコンサルタントや研修講師を務めており、台湾(労働部)主催の講演会でも登壇した。「5分会議」🄬はRKB毎日放送「今日感テレビ」で紹介された。著書に『相手が”期待以上”に動いてくれる! リーダーのコミュニケーションの教科書』(同文舘出版)、『生産性アップ!短時間で成果が上がるミーティングと会議』(明日香出版社)、『期待以上に人を動かす伝え方』(かんき出版)、『期待以上に部下が育つ高速会議』(かんき出版)など多数。
株式会社CHEERFUL

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