テレワークでは、わかりやすい成果を上げなければ、評価されにくい!【第8回】

テレワークでは、わかりやすい成果を上げなければ、評価されにくい!【第8回】カスタマーズ・ファースト株式会社代表取締役 片桐あい

最近の各企業の管理職の悩みは、テレワークで部下をどう評価したらいいか? という悩みが多いのです。確かに、いままでは隣にいて部下の頑張りを見てきて、成果だけではなくそこに行きつくまでの本人の努力や成長度合いも見ながら評価するという日本流の評価が主流でした。しかし、離れて仕事をしていることで、やはり、仕事の成果を中心に評価せざるを得ない状況に悩んでいるようです。であれば、わかりやすい成果をきちんとアピールすることで、正当な評価が手に入るわけです。今回は、離れている上司からきちんと評価されるための成果を出す考え方をお伝えします。

わかりやすい仕事のアピール方法を持っておく
奥ゆかしい日本人は自分の仕事をアピールするのは、美学に反するかもしれません。それでも、働き方の選択肢としてテレワークを導入するのであれば、自分の仕事についてきちんとアピールすることができることは大切なのです。
物理的に離れている状況でも、上司や部下や同僚やお客様と連携をして仕事をすることで組織としての成果は見えるかもしれません。しかし、個人がその組織の出した成果のどんなことを担ったのかは、あなたの評価をする上司にはどうしても見えにくくなります。
評価する側の上司も、テレワークには慣れていないでしょうし、正当な評価をしてもらうためにも何をしたのかをわかりやすくアピールしておかなければ、結局この1カ月は何をしたのか、どんな結果を出したのかは、情報として流れてしまいます。
自分の身は自分で守らなければなりません。どんなに大切な仕事をしていても、大きな仕事の一部を担っていても、自分のアイデアが採用されてプロジェクトを立て直すことができたとしても、そこにどう自分が関わったのかは、情報として埋もれてしまいます。
自分の価値を自分でわかって、客観的に伝えられなければ、相手にもなかなか伝わりません。
では、どうしたら嫌味なくアピールできるでしょうか?
まずは、できる限り数値化することが大切です。営業であれば、数値化は比較的やりやすいですが、それ以外の職種は数値化するのは、難しいことでしょう。
でも、業務改善をすれば意外に簡単に成果が出せます。たとえば、ご自身の関わる仕事を10個のプロセスに分割し、関係者に確認したところ5個目のプロセスは必要ないということがわかったとします。不要となったプロセスにどれくらいの時間がかかっていたのかを、確認します。場合によっては、ストップウォッチを持って、5個目のプロセスに平均するとどれくらい時間がかかっているのかを図りましょう。
その時間×仕事の発生する頻度を計算してみると、それが削減できる時間となります。給与を勤務時間で割って時給を計算して、削減した時間を掛けると金額が出るので、それを年で計算したりすると結構な金額になります。
また、チーム全体でやるといくらになるかを計算したり、全社で導入したらいくらになるかなど、数字にしたりしていくといろいろな可能性が見えます。その値が正しいかどうかは誰にもわかりません。なぜなら、ビジネスは常に動いているので、いまの条件で仮説を立てて計算してみると、この先削減できるであろう金額までも計算できます。
そのように、実際に削減した時間や金額、今後期待できる時間や金額など、自分の仕事の成果として報告しましょう。それを、業務改善やコスト削減につなげていくこともできるので、やりたいことを数値化して上司に提案していきましょう。
テレワークで離れていればいるほど、そのような仕事の見せる化の工夫が必要です。
上司へのわかりやすい仕事のアピールの方法は、とにかく数値化することです。業務改善やコスト削減など、自分の成果を時間や金額に置き換えて報告しましょう。また、この先に期待できる業務改善の効果を数値化して見せれば更なる仕事の成果が期待できます。
もし、一時間毎の業務報告を出せ!といわれても出せる準備をしておく
マイクロマネジメントという言葉を聞いたことがありますか? 上司のマネジメントスタイルによっては、細かいことまで知っておきたい上司もいます。そんなマネジメントスタイルをマイクロマネジメントと言います。それが絶対に悪いわけではないですが、管理も行き過ぎると指示がないと仕事ができない部下を育てることになったり、自分で考えられない社員にしてしまったりすることがあります。
テレワークを導入した途端、心配性の上司や、部下を信頼できない上司は、もしかしたら「1時間毎に業務報告書を出せ!」というかもしれません。もし、言われなくても、それくらいの単位で自分のした仕事についての報告ができるくらいに記録を取っておくこともお勧めです。調べ物をしているうちに、あっという間に1時間くらいは経ちますし。その時点では必要な仕事をしたはずなのに、振り返ると、「何をしていたんだろう?」というような時間になってしまうので、思い出しのためメモを取っておきましょう。
テレワークをしていると、さまざま々なツールを使っていろいろな仕事の関係者とコミュニケーションを取るので、自分の仕事の痕跡はあちらこちらに散らばってしまいます。そうならないようにタスクリストをつくっておいて、そこに実績を書き込んでいくとブレなく仕事も進むので、それをお勧めします。
実際に、上司から細かい報告書を求められるかどうかはわかりませんが、ある程度の精度で報告できるような準備だけはしておきましょう。そうすることで、自分の仕事でどこにムダがあるのか、計画のどこにムリがあったのか、仕事の集中力できずにどんなムラがあったのかもわかります。
テレワークをすることで、自分の仕事のやり方を見直すための良い機会になることでしょう。
タスクリストをつくり、実際にリストどおりに仕事ができたかを記録しておきましょう。テレワークでの仕事の成果を上司に報告するためにも利用できます。また、自身の仕事のムダ・ムリ・ムラを見直すチャンスにもなります。

※当コラムは著書『これからのテレワーク──新しい時代の働き方の教科書』を基に補筆したものです。
片桐あい(かたぎり あい)
カスタマーズ・ファースト株式会社代表取締役、産業カウンセラー、キャリアカウンセラー。行動習慣ナビゲーター。人間関係問題解決コンサルタント。サン・マイクロシステムズ株式会社(現・日本オラクル株式会)サポート・サービス部門に23年間勤務。グローバルのプロジェクトで「エンジニアのトレーニングの開発」のためのメンバーに選出され、各国の教育担当とカリキュラムを開発。2012年に独立し、企業研修講師となる。これまで、年間約120件登壇し、約2万5000名の育成に従事。また、人財育成コンサルティングで、延べ3400名の育成にも尽力。著書に『職場の「苦手な人」を最強の味方に変える方法』(PHP研究所)、『一流のエンジニアは「カタカナ」を使わない!』(さくら舎)、『これからのテレワーク』(自由国民社)がある。
新著『オンラインコミュニケーション35の魔法──リアルのコミュ力も上がる! 』(自由国民社)発売中!

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