こんにちは。「5分会議」🄬を活用した人財育成家の沖本るり子です。会議の時間を有意義な時間にするために、会議の仕組みを工夫しましょう。それでは、人と組織がみるみる育つ「5分会議」🄬の進め方の事前準備からです。
会議開催の必要性から考える これから会議の進め方を紹介していくにもかかわらず、「会議をやる必要性があるか否か考えて」というのもどこか矛盾しているかもしれません。しかし私は、むやみに会議をやろうと勧める気はありません。むしろ会議は関係者の行動や時間を拘束するのですから、やるかどうかを慎重に検討してください。 もちろん顔を合わせて意見を出し合い、そのときに集まった参加者たちの化学反応を期待しているというのであれば、会議をやればよいでしょう。闇雲に会議をやるなと言うつもりはありません。 では会議をやる必要性を何で判断するかといえば、ねらいの設定に尽きます。なぜ会議をやるのかという会議の「目的」と、会議を終えた段階でどういう状態にありたいかという「目標」。この2つを明確に設定できれば、会議を開く意味があるといえます。 議題と無関係の人こそ必要な参加者 続いて会議の参加者を決めましょう。目的と目標に見合ったメンバーを集めることがポイントです。 同じ部署だから、プロジェクトのメンバーだからといった理由だけではなく、決裁のキーマンであることは当然、連携が必要になる部署のメンバーも呼びます。 管理職の人など、いろいろな会議に顔を見せてはすぐに退出し、議論に真剣に関わろうとしない人をときどき見かけます。こういう人は「5分会議」🄬には呼びません。会議の途中退出は避け、最後まで議論に加わるようにお願いしてください。 ただ、会議に真剣に参加しない人というのは、その人だけが悪いわけではありません。「顔を出すくらいでいい」と思わせるムダな会議が多いという、組織の状況の表れともいえるでしょう。本気で参加したいと思える会議にすることが大事です。 そして参加者を選ぶとき、ぜひ議題とは直接関係しない他部署の社員も数名入れましょう。意外かもしれませんが、「5分会議」🄬ではその人たちの発言が重要な気づきをもたらす場合が多いのです。 というのも、議題に直接関わっている人たちは視点が凝り固まっていて、なかなか自分たちの常識を崩すことができません。その中に異色のメンバーが入ることで、まったく違う観点からアイデアや指摘を得ることができます。とくに商品開発などは、一利用者として消費者目線で意見してくれるはずです。 逆に参加した他の部署の人たちは、周りの部署が何をしているのか、どのように事業を進めているのかを知る機会になります。周辺を理解することは、部署間の連携にもつながってくるので、いいことずくめです。 他部署からのゲストの人数は、少なくて構いません。また社歴や年齢、積極性は関係ありません。むしろまったく手垢のついていない新人や、少し大人しそうな人のほうがおすすめです。 時間割をつくる 会議をやると決めたら、次はプログラムです。会議の目的と目標の実現に向け、当日どのような段取りで進めていくかを決めます。そして、ここで1つポイントが。会議全体を進行する人は、主宰者でなくても構いません。 会議の主宰者というと、部署やチームのリーダー、プロジェクトリーダーなど、そのグループのトップがなることが多いもの。でも会議で人材育成を図るなら、リーダーの影はなくしていくことが理想です。 「5分会議」🄬は大まかな流れは決まっていますし、事前にプログラムも綿密に設計します。時間管理さえできれば、誰が進行役を務めても大きな失敗は起こりにくいです。思いきって新人に挑戦させてみたら、周りの参加者も協力的になるはず。人材育成の意味でも、持ち回りでやるのがおすすめです。どうしたら全員が積極的に参加する場になるかということに、知恵を絞りましょう。 プログラムは紅白歌合戦のつもりで! 「5分会議」🄬の進行では、何よりも時間配分がポイントになります。まず1回の会議にかける時間を検討しましょう。議題にもよりますが、集中力が続く時間を考えると長すぎるのは感心しません。だいたい90分程度に収めるようにしましょう。それを前提に、各パートの時間配分を考えていきます。 当日の基本的な進行をおさらいすると、次のとおりです。 ◇自己紹介◇会議の目的と目標、ルール、基本情報の共有◇ミニ会議 ❶〈アイデア出し会議〉◇ミニ会議 ❷〈アイデアのいいところ出し会議〉◇ミニ会議 ❸〈アイデアの問題点出し会議〉◇ミニ会議 ❹〈問題点への対策案出し会議〉◇投票◇ミニ会議 ❺〈決定事項会議〉◇行動宣言 たくさんやることがありますが、制限時間内に終わることを前提に、各時間を決めていきます。 そしてミニ会議で終わってもいけません。大事なのはその後、投票に集計、そして決議と担当決めです。 「もし時間が足りなくなったら、決議は幹部で……」など、間違ってもすべきではありません。それをやった時点で、参加者からの信頼は一気に失われます。行動宣言まで含めると、それなりの時間を確保しなければ中途半端になります。 ここまで来ればおわかりですね? そう、「5分会議」🄬はまさに時間との勝負!「高速会議」です。分単位でプログラムを設計する必要があります。さらにそれぞれのパートの中も、秒単位で想定しておくことが望ましいでしょう。 イメージは、年末に行われる紅白歌合戦の進行です。数十組の歌手が出場し、途中いろいろなパフォーマンスや余興が入るうえ、ニュースも挟みます。にもかかわらず全員が歌いきり、みんなで蛍の光を合唱して華々しくフィナーレを迎えます。あらかじめ時間を配分し、仮に予定時間を超えても取り戻す部分を綿密に設計しているから、あのような進行ができるのです。 ただ、時間を優先した結果、十分な議論が期待できないというのであれば、それは本末転倒ですから90分にこだわる必要はありません。間に休憩を入れましょう。 また進行の応用として、会議を分割して開くという手もあります。一度にまとまった時間を確保できないというのであれば、1回につき10分程度で、今日はアイデア出し会議まで、明日はいいところ出し会議……と、少しずつ小分けにして1週間で完成させるという方法も。これなら朝礼の続きで進めることもできますよ。 ※本記事は『期待以上に部下が育つ高速会議』から抜粋・再編集したものです。 沖本るり子(おきもと るりこ) 「5分会議」🄬を活用した人財育成家。1分トークコンサルタント。株式会社CHEERFUL代表取締役。「人財育成と組織改革」を柱に、企業向けコンサルタントや研修講師を務めており、台湾(労働部)主催の講演会でも登壇した。「5分会議」🄬はRKB毎日放送「今日感テレビ」で紹介された。著書に『相手が”期待以上”に動いてくれる! リーダーのコミュニケーションの教科書』(同文舘出版)、『生産性アップ!短時間で成果が上がるミーティングと会議』(明日香出版社)、『期待以上に人を動かす伝え方』(かんき出版)、『期待以上に部下が育つ高速会議』(かんき出版)など多数。株式会社CHEERFUL