守りのテレワークから攻めのテレワークに転じるとき!【第1回】

守りのテレワークから攻めのテレワークに転じるとき!【第1回】カスタマーズ・ファースト株式会社代表取締役 片桐あい

まずは、テレワークを導入することでの、ワークライフバランスを取るうえでのメリットとデメリットを見直そう。できない前提ではなくできる前提で考えれば、すべての仕事でテレワークはできるはず!

目次

守りのテレワークから攻めのテレワークに転じるとき!

ワークライフバランスを取れるメリット
そもそも、ワークライフバランスとは何でしょうか? ワークとライフが半々であればうまくいくというものではありません。
QOL(クオリティ・オブ・ライフ=人生の質)を高め、仕事もプライベートも充実させるためにバランスを取ることです。自分で最適なバランスを見つけて、うまく自分や自分を取り巻く環境をマネジメントできれば、人生の満足度は高まります。
たとえば、趣味の時間を確保することや所属しているコミュニティを運営すること、さらに副業や複業、独立の準備などをかかえている方もいるとしたら、時間はムダにはできません。さまざまな役割を担いながら本業でも成果を出し続けるためにも、テレワークは最適な働き方だといえます。
もし、子どものインフルエンザや伝染病の看病で、世話が必要な日はもちろん有休をとるわけですが、熱は下がったけれど保育園では見てくれないというような経過観察の日もあります。
子どもさえ大人しくしていてくれれば、テレワークができる場合もあるでしょう。仕事の内容にもよりますが、未就学児を持つ社員にはありがたい制度です。
また、介護やご自身の在宅治療などの場合も、休みを取るほどでもないという場合には、テレワークの制度をうまく使えば働き続けることだって可能です。
もちろん、会社や上司によってはこのようなテレワークはNGという場合もあるでしょうから、事前に確認は必要です。
それでも、家庭やご自身の事情で仕事を辞めなければならないような場合には、テレワークでなんとか仕事を継続できないか検討してみましょう。企業も優秀な人材を失うよりは、働き方を変えるという選択肢を受け入れる可能性もあります。
◎ワークライフバランスを取るためにも、テレワークは有効です。働き続けるということが難しくなった場合でも、一度テレワークで続けられないか確認すべきです。
ワークライフバランスが崩れるデメリット
前項目では、ワークライフバランスを取るためにテレワークにはメリットがあるとお伝えしましたが、逆にテレワークでワークライフバランスが崩れるというデメリットもあります。
たとえば、テレワークで仕事をしていると、パソコンと電話さえあれば、ずっと仕事ができてしまいます。そうなると、仕事の切れ間がなく、ずっと電話対応をすることになったり、パソコンに向き合ってしまったりということになる人もいます。いつ初めてもいつ終えてもいい分、仕事がやめられなくなってしまうのです。
できれば、1時間から1時間半に1回は、立って歩いたり、休憩を取ったりしないと、働きづめになることもあり、ワークとライフのバランスが崩れてしまうのです。
オフィスにいれば、話しかけられたりもすれば、会議で席を外すこともあります。しかしテレワークであれば、電話はかかってくる場合もあればオンライン会議もあるでしょうが、長時間座りっぱなしになることもあります。
それにより、エコノミー症候群や運動不足による生活習慣病にも気をつけないと、そもそものライフが崩れてしまします。また、人と話すことが極端に少なくなるという場合もありますので、メンタル不調にも気づきにくくなります。そのようなことがないように、自分も周囲の人も気をつけて、様子を確認することも必要です。
いまこそ攻めのテレワークを!
緊急事態宣言から始まったテレワークかもしれませんが、解除された後にあなたの職場はどうなっていますか? なんとなく通常モードに戻ってしまっている職場と、意外とうまくテレワークが進んで業務効率があがった職場があることでしょう。
弊社のクライアントさんの実例としては、未就学児をかかえるママ社員がテレワークでの業務効率があがったことを証明するための資料を作成しました。そして、テレワークを導入したことでワークライフバランスがより向上したことを上司に訴え、テレワークのガイドラインを作成したそうです。その後、上司経由で人事にそのガイドラインが渡って最終的には、会社の規定を変えて全社にテレワークが広がったそうです。その社員は、人事や総務の担当ではなく一現場の担当でした。
このようなケースはあまり一般的ではないかもしれませんが、それでも自分の仕事の環境を自分で変えていった事例です。そもそも、その社員はこれまでも仕事で実績を積み上げ上司との信頼関係もあったわけですが、それでも、コロナ禍で先が見えない不安の中、行動を起こし上司を巻き込んで会社を動かしたということが素晴らしい事例です。
仕事によっては、テレワークができないというようなエッセンシャルワーカーと呼ばれる方々もいますが、たとえば、現場を離れてできる仕事としては業務改善やマニュアル作成、報告書の作成、オンライン研修の受講などが挙げられます。
現場の仕事を行いながら、これらの業務を行うよりも現場を離れて、集中して行った方がいい仕事もあることでしょう。そのような仕事を月に1度でもテレワークしようと思えばできるものです。「うちの会社はテレワークなんて無理だ」「この業務は在宅なんかできない」と言っていないで、できるという前提で話し合ってほしいと思います。特に、業務改善は現場から離れて考えたり作業をすることで、いつかやろうではなく、やるための時間を先にスケジュールしてしまうことが大切です。それをどうすればリモートでできるのかを考えれば、意外とすべての仕事でテレワークは導入できるのではないでしょうか?
やらされ感の守りのテレワークから、積極的に活用して成果を出す攻めのテレワーク!
ぜひともチームで話し合っていただきたいです。
※当コラムは著書『これからのテレワーク──新しい時代の働き方の教科書』を基に補筆したものです。

片桐あい(かたぎり あい)
カスタマーズ・ファースト株式会社代表取締役、産業カウンセラー、キャリアカウンセラー。行動習慣ナビゲーター。人間関係問題解決コンサルタント。サン・マイクロシステムズ株式会社(現・日本オラクル株式会)サポート・サービス部門に23年間勤務。グローバルのプロジェクトで「エンジニアのトレーニングの開発」のためのメンバーに選出され、各国の教育担当とカリキュラムを開発。2012年に独立し、企業研修講師となる。これまで、年間約120件登壇し、約2万5000名の育成に従事。また、人財育成コンサルティングで、延べ3400名の育成にも尽力。著書に『職場の「苦手な人」を最強の味方に変える方法』(PHP研究所)、『一流のエンジニアは「カタカナ」を使わない!』(さくら舎)、『これからのテレワーク』(自由国民社)がある。
オンラインコミュニケーション35の魔法──リアルのコミュ力も上がる! 』(自由国民社より12月24日発売予定)

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