会議にまつわる、あるあるを川柳に。
メールやチャットツールが普及したおかげで、会議も減ったし、自分の仕事に集中できるようになったなぁ。あれ、でも今日会社に来てから誰とも話していないかも…。
これって本当に大丈夫なのでしょうか。
ビジネスチャットが生む弊害
仕事の効率化の大義名分のもと、無駄な会議を減らそうと、「チャットワーク」や「Workplace」など、社内で使うビジネスチャットツールの普及が進んでいます。いわゆる「報連相」の会議は、わざわざみんなで集まらなくても、ビジネスチャットで情報を共有すれば十分、という流れです。
一方で、効率化の名のもと、別の問題が発生している現状も見逃せません。
「ビジネスチャットのスレッドが多くなりすぎて、追いつけない!」という方はいませんか?あるいは、すべてのスレッドに目を通すのに、午前中いっぱいつぶされるという方はいませんか?そうでなければ、見落としたり、情報を追いかけるのをあきらめてスルーしてしまったりという人も見かけます。
ビジネスチャットにおいて、情報の発信者は、グループに登録している人はみんな目を通しているだろうと考えている場合があります。ところが、とりあえずグループに登録されている人は、次第に「なんか自分には関係なさそうだなぁ」と思うようになり、スルーするということも少なくありません。
会議は短く、多く
最近のオフィスはとても静かです。電話がメールに、会議がビジネスチャットに代わったため、人と人が直接会話をする機会が減ってきているのでしょう。席が目の前や隣同士でも、チャットでやりとりをするという人も多いのではないでしょうか。
「スマート会議術」でも紹介した日本ヒューレット・パッカードは、フリーアドレス制を導入しているため、社員の固定席がありません。その代わり、オフィスのあちこちに会議スペースが設置されています。それもいわゆる「閉じた会議室」ではなく、いつでもどこでも気軽に会話ができるフリースペースが至る所にあるのです。
(日本ヒューレット・パッカード社の取材記事)
>>未来の会議室を体験したら「会議の断り方」を教えてもらえました【スマート会議術第9回】
「博報堂のすごい打ち合わせ」(SBクリエイティブ)を書いた大手広告代理店の博報堂は、会議をあえて「打ち合わせ」と呼び、まるで飲み屋での雑談のような、フラットでフリーな会議を目指しています。
(博報堂社の取材記事)
>>博報堂は会議が多く、しかも雑談だらけ…。その理由は?【スマート会議術第11回】
日本ヒューレット・パッカードも博報堂も、最も重視しているのは「社員同士のコミュニケーション」です。時短や効率化を目指して会議を減らしても、その分、社内のコミュニケーションや情報共有がなおざりになっては本末転倒です。
人と人が直接会って話し合ったときは、「え?それ聞いてないよ」「知らない」という事態はあまり起きません。それがビジネスチャットの普及によって、逆に「読んでない」「気付かなかった」「知らない」と情報の洪水に溺れてしまう人が増えてしまっているのです。
2~3時間ダラダラと話すような無駄な会議を減らすのは、仕事の効率化にとって重要です。しかし、会議自体がなくなることはありません。さまざまな企業を取材していると、先進的な会社ほど、「会議は短く、多く」という傾向があります。5分や30分でも、社員同士が直接コミュニケーションを図る重要性はますます高まってくることでしょう。そうでなければ、みんながオフィスに集まる理由すらなくなってしまいます。少なくとも隣同士の席なのに、目も合わせずチャットでやりとりをするといったナンセンスなことは、なくなるのではないでしょうか。
文・会議HACK!編集部
イラスト・タナカケンイチ