会議にまつわる、あるあるを川柳にする「会議のオキテ」。
みんなの意見を集約して、民主的に意思決定を行うことは決して悪いことではありません。しかし、結論を持ち越して、何度も同じ議題で会議を繰り返していませんか?ビジネススピードがどんどん速くなっている現代において、決断の遅さは命取りになります。
決断力とスピードを奪う合議制
働き方改革、ノー残業、36協定、プレミアムフライデーなど、労働生産性の向上と仕事の効率化が叫ばれています。にもかかわらず、非効率な会議で時間を無駄にしている企業はまだまだ多いようです。
伝統的に日本人は、会社経営においてトップダウン式の決定や討論が苦手です。そのため意思決定には、合議制が導入されてきました。
合議制とは、みんなの意見を集め、意思決定をする民主的な制度です。いろいろな意見が出るので、思わぬアイディアや発想が生まれることがメリットです。
しかし、その一方で、参加者のモチベーションに温度差があり、当事者意識が持てないケースも多々あります。そういう場合は、発言する人が決まってきたり、時間がかかったり、判断効率が悪くなったりします。最終的に誰が何を決めるのか、あいまいなまま進むことも多く、「会議のための会議」に陥る危険があります。
以前、テレビの討論番組で、ホリエモンこと堀江貴文氏が「反対意見を言うと、『堀江はあいつが嫌いなんだ』って、すぐ言われるんです」と、討論恐怖症の日本人の習性を嘆いていました。
まさに、夏目漱石が「草枕」の冒頭でぼやいた「智に働けば角が立つ」です。
合議制での意思決定は、結果的に日本人から決断力とスピードを奪ってきました。しかし、世界が相手のグローバル社会では、時間のかかる合議制だけでは、なかなか通用しなくなってきているのも事実です。
合議制はAIに取って代わられる?
江戸時代の日本では、すでに合議制が導入されていました。
江戸幕府では、複雑化・専門化した行政問題について、実務に携わる下位役人の判断や見解に頼るため、合議制が採用されていたそうです。
トップダウン式ではなく、現場の役人の意向を汲み上げていく、極めて民主的な制度だったのです。
しかし、その制度がいつの間にか「事件は会議室で起きているんじゃない!現場で起きているんだ!」という、映画「踊る大捜査線 THE MOVIE」でのセリフのように、スピード最優先の時代に追いつかなくなっているのです。
アップル、アマゾン、フェイスブック、ユニクロ、ソフトバンクなどなど、21世紀のグローバル企業を見ると、トップダウンで経営判断を下す企業が目立ちます。
AI(人工知能)時代の到来が叫ばれる昨今ですが、AIが進化すると、人間におもに求められるのは「決断」「判断」だといわれます。合議で出るような結論は、AIが過去事例のデータを基に、迅速且つ正確に最善の選択肢を弾き出してくれるからです。
やがて、AIが高度に進化すれば、「会議のための会議」のような無駄な会議は消滅するかもしれません。
そういう時代で勝ち残るためには、すばやく決断する能力を身に付けるのが、最も賢い選択肢になるのではないでしょうか。
文・会議HACK!編集部
イラスト・タナカケンイチ